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【第7回】現金関連③ ~「当座借越」「当座預金」~

じっくり簿記 3級


【第7回】 現金関連③ 「当座借越」「当座預金」

こんにちは。たいちろうです。

前回、当座預金について学習しました。
今回は当座預金を利用するメリットの一つである、当座借越について解説します。


当座借越 ~残高が足りなくても銀行が立替えてくれる~
当座預金は支払専用の口座であり、取引先が小切手を銀行に持っていくことで、当座預金口座から支払われます。

しかし、会社によっては多数の取引があり、当座預金口座の出入りが多い場合、一時的に当座預金口座の残高がマイナスになることがあります。

ご存じと思いますが、普通の預金口座であれば、残高がマイナスになることはありえません。
(公共料金等の引落の際に、残高が足りなければ引落自体が起こりません)


当座預金の残高がマイナスとはどういう状態なのでしょうか。
それは足りない金額を銀行が立て替えてくれているという状態です。
この状態を「当座借越(とうざかりこし)」といいます。


もし口座の金額が不足し、取引を決済できない(=不渡り)ということになれば会社の信用が大きく傷つきます。

そして、不渡りを6か月以内に2回起こしてしまうと、銀行取引停止処分を受けてしまいます。
これは当座預金の取引や融資ができなくなる処分です。
当座預金を使えなくなるということは、取引ができなくなるということと同義です。
取引ができない会社など存在する意味がなく、この状況は事実上の倒産状態となります。


当座借越の契約を銀行と結んでおくことで、そういった事態になることを防ぐことができます。
当座借越を利用できる金額は会社次第であり、信用力のある会社ほど、当座借越の利用限度額は大きくなります。

ちなみに、「当座借越」という言葉は会社の側から見たときの言葉であり、銀行では「当座貸越(とうざかしこし)」と呼ばれています。

銀行員の担当者が会社の人に説明するときも当座貸越と言うため、実務ではそう呼ぶ人も多いですが、簿記は会社の側から見た事実を表すものであるため、当座借越と呼ばないと不正解になります。

仮に、当座預金口座の残高が0円であるときに、取引先が10万円の小切手を銀行に提示したら、銀行がその10万円を立替えて支払ってくれます。
そして口座残高は10万円のマイナスという状態になり、これが当座借越の金額になります。

当座借越の仕訳 <一勘定制と二勘定制>
当座借越の仕訳を解説していきます。
当座借越の仕訳には一勘定制二勘定制の2種類があります。

まず、二勘定制から解説します。

<1>二勘定制
二勘定制は、当座預金の取引について、

・当座預金の残高があるとき「当座預金」という科目
・当座預金の残高がマイナスになったとき「当座借越」という科目

を使用する方法です。

当座預金当座借越という二つの勘定科目を使うため、二勘定制といいます。
前回(第六回講座)における例題や問題の解答の仕訳はすべてこの二勘定制で切られています。

以下の仕訳を二勘定制で切ってみましょう。

例題7-1 現金100万円を当座預金に預け入れた。

例題7-2 80万円の商品を仕入れ、小切手を振り出して支払った。取引前の当座預金には100万円の残高がある。

例題7-3 120万円の商品を仕入れ、小切手を振り出して支払った。取引前の当座預金には100万円の残高がある。


(単位:万円)
例題7-1 解答 (借方) 当座預金 100 / (貸方) 現金 100 

例題7-2 解答 (借方) 仕入 80 / ( 借方) 当座預金 80 

例題7-3 解答 (借方) 仕入 120 / (借方) 当座預金 100 
                                                     /(借方) 当座借越 20



例題7-1は前回の講座で解説した、当座預金口座に入金するときの仕訳と同じですので解説は省略します。
例題7-2も前回の解説と同様です。仕入という費用が計上され、対価として当座預金が減少しています。

ちなみに例題7-2の取引前のBSは以下のようになり、(現金は省略しています)

第七回① 

取引後のBSは以下のようになります。

第七回② 

仕入の対価として、小切手を80万円振り出しているので当座預金が80万円減少し、残高は20万円になっています。

さて、例題3の仕訳ですが、当座預金の残高は100万円であるのに対して、120万円の支払いを行っています。

そのため、当座預金口座から支払できるのは100万円までであり、残り20万円分については銀行に立て替えて支払ってもらう、すなわち当座借越になります。

この20万円分の当座借越は一時的に銀行に立て替えてもらっているだけであり、いずれは(当座預金口座に入金することで)返済しなければならない負債です。

負債はBSの貸方の項目であり、増加したら仕訳の貸方に、減少したら仕訳の借方に記載するという、資産とは逆の動きをするものでした。

例題7-3の仕訳の場合、当座借越という負債が20万円増加してることになります。
例題7-3の取引前のBSは以下のようになります。(例題2と同じものです)

第七回① 

例題7-3の取引の仕訳(下記)を反映させると以下のようになります。

(単位:万円)
(借方) 仕入 120 / (借方) 当座預金 100
/(借方) 当座借越 20
第七回③ 

取引により120万円の支払いが発生するため、100万円の当座預金の残高はすべて支払いにあてられ、さらに20万円の当座借越という負債が発生しています。

この当座借越は、いつまでに当座預金に入金をして返済する、という期限がさだめられています。

ちなみに、当座借越を返済(当座預金へ入金)するときの仕訳は以下の通りです。

例題7-4 当座借越が20万円ある。現金50万円を当座預金口座に預け入れた。



(単位:万円) 例題7-4 解答  (借方) 当座借越 20 / (貸方) 現金 50
                    (借方) 当座預金 30/


当座借越という負債が20万円ある状況で、50万円を当座預金口座に入金しています。
50万円のうち20万円が当座借越の返済に充てられ、残りの30万円が当座預金の残高として残るようになります。

入金後のBSは以下の通りです。(現金は省略しています)
第七回④ 


<2>一勘定制
一勘定制は、当座預金が増減する取引すべてに「当座」という勘定科目を使う方法です。

「当座」は、

当座預金が増えるときは仕訳の借方
当座預金が減るときは仕訳の貸方

に記載します。

二勘定制において「当座預金」「当座借越」という二つの科目を使い分けていたのを、「当座」という科目に統一した、シンプルな方法であると言えます。
その名の通り、当座という 一つの勘定しか使わないので「一勘定制」と呼ばれています。


以下の仕訳を一勘定制で切ってみましょう。

例題7-5 現金100万円を当座預金口座に預け入れた。

例題7-6 80万円の商品を仕入れ、小切手を振り出して支払った。取引前の当座預金口座には100万円の残高がある。

例題7-7 120万円の商品を仕入れ、小切手を振り出して支払った。取引前の当座預金口座には100万円の残高がある。

(単位:万円)
例題7-5 解答 (借方) 当座 100 / (貸方) 現金 100 


例題7-6 解答 (借方) 仕入 80 / (借方) 当座 80 

例題7-7 解答 (借方) 仕入 120 / (借方) 当座 120 


例題7-5と例題7-6は、例題7-1と例題7-2とほぼ同じです。
「当座預金」という勘定科目が、「当座」になっているだけです。

例題7-5は当座預金が増加しているので、借方に当座を計上し、例題6は当座預金が減少しているので、貸方に当座を計上します。

例題7-5および例題7-6の仕訳を切った後のBSは以下のようになります。

第七回⑤   


二勘定制の例題7-2の「当座預金」の科目が「当座」になっているだけで、結果は同じです。

例題7-7について、二勘定制の場合、当座預金の残高を超えて支払いが起こったとき、その超えた部分について「当座借越」の科目で計上していました。

しかし、一勘定制では、当座借越となっても、「当座」しか使いません。これは、BSを見るとわかりやすいと思います。

例題7-7の取引前のBSは以下の通りです。(現金は省略しています)

第七回⑥ 



例題7-3の「当座預金」が「当座」になっているだけです。


そして、以下の例題7の取引の仕訳を反映させたBSは次の通りです。

(単位:万円)

(借方) 仕入 120 / (借方) 当座 120 

第七回⑦ 

取引前には借方(資産)に100万円あった当座ですが、仕訳により貸方に120万円出ています。
借方(資産)にある当座の残高100万円は全額マイナスされ、さらに不足分20万円がBSの負債に記載されます。


これは結局、例題7-3のBSにおける「当座借越」という科目が「当座」になっているだけです。

つまり一勘定制では、

・「当座」がBSの借方(資産)にあれば当座預金の残高がある
・「当座」がBSの貸方(負債)にあれば当座借越がある

ということを示しています。

参考に、例題7-7の当座借越を銀行に返済した場合の仕訳は以下のとおりです。

例題7-8 当座借越が20万円ある。現金50万円を当座預金口座に預け入れた。


例題7-8 解答  (借方) 当座 50 / (貸方) 現金 50
(単位:万円)



当座借越が20万円ある状態で、50万円を当座預金に入金しているので、当座預金に30万円の残高があるようになります。

二勘定制と違い、一勘定制は当座預金の増減はすべて「当座」で処理するので、単純に借方に当座50万円と記入することになります。

当座借越が20万円ある状態(以下のBS)から

第七回⑧ 

解答の仕訳(当座50 / 現金50)が入ることにより、当座預金に30万円の残高が残るようになり、BSも以下のようになります。(現金は省略しています)

第七回⑨ 

先に述べたように、一勘定制では、「当座」が借方(資産)にあれば当座預金の残高を、「当座」が貸方(負債)にあれば当座借越の残高を示しています。

ここまで仕訳を切って、BSを確認したことでお気づきいただいているかもしれませんが、一勘定制も二勘定制も、科目の名前が違うだけで最終的な結果は同じになります。

例題7-2と例題7-6のBSを比較していただければわかりやすいと思います。
また、当座借越がある場合も違いは科目名だけです。

例えば、例題7-3のBSは以下の通りであり、

第七回③


例題7-7のBSは以下の通りです。
第七回⑦

二勘定制では、「当座預金」と「当座借越」を分けて使うのに対して、一勘定制ではどちらも「当座」で表示し、借方にあれば預金残高、貸方にあれば当座借越の残高であるという把握の仕方をします。

このように、一勘定制と二勘定制は、使用する科目の名前が違うだけで、仕訳の意味するものは同じであるということがお分かりいただけたでしょうか。

当座預金に関する講座は以上で終わりになります。
今回の要点は

・当座預金から支払が行われる際に、残高が足りないときは銀行が立て替えてくれる。
 そのことを「当座借越」という。

・当座預金の仕訳の方法は2種類(一勘定制と二勘定制)ある。

・一勘定制は当座預金の増減を全て「当座」という科目で処理する。
 当座預金が増えたら当座を借方に、減ったら当座を貸方に記入する。
 
・二勘定制は当座預金の増減は「当座預金」という科目を、当座借越の増減は「当座借越」という科目で処理する。
 当座預金は資産、当座借越は負債である。

となります。

次回の「小口現金」にて、現金関連の講座はラストとなります。


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