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【第61回】決算手続(17)「精算表」

じっくり簿記 3級
【第61回】決算手続(17)  「精算表」



こんにちは。たいちろうです
今回から損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)を作成するための前段階である「精算表」の作成について説明していきます。

簿記3級の試験において精算表はほぼ毎回出題されており、配点も大きい(100点中の30点!)論点です。

ちなみに「精算表」という個別の論点として扱っていますが、解答するにあたり今まで学習してきた決算の手続きの知識が必須になります。
もし例題を見て、その決算手続の方法を忘れていたら、その論点の回を再確認することをおすすめします。

今回は例題として総合問題を使用するため、かなり分量が多い回となっています。
なるべく時間のある時に集中して読むことをおすすめします。

精算表とは
決算手続きは「決算整理前の試算表」に「決算整理仕訳」を加えて、最終的なBSやPLの数値になるというものです。(この流れが思い出せない場合は第48回をご参考ください)
この決算の一連の流れがわかるように「試算表」「決算整理仕訳」「PL」「BS」の数値が一覧になっているものです。
第61回1


一見、たくさんの項目があって複雑な表に見えますが、どのように構成されているかを理解すればそんなに難しくはありません。

精算表は先述のように「試算表」「決算整理仕訳」(「修正記入」という名前になっています)「PL」「BS」の各数値が借方/貸方ごとに、縦に並べられているということを理解すれば見方がわかると思います。
第61回2



試験で出題される形式としては、「試算表」の数字が所与として記入されており、決算整理手続きが問題として与えられ、精算表の決算整理手続の欄(修正記入の欄)、PL、BSに数字を入れていくというパターンが多いと思います。

以下、例題を通じて説明していきます。
今までの決算整理仕訳の知識を総動員する必要があります。


例題61-1 以下の決算整理事項に関して精算表を完成させなさい。なお、当期の会計期間は平成27年4月1日~平成28年3月31日である。
(1) 建物について定額法による減価償却を行う。耐用年数は20年、残存価額は0円とする。
(2) 期末の売掛金残高に対して3%の貸倒引当金を計上する。
(3) 期松の商品残高は70,000円であった。(売上原価の算定は「仕入」の科目で行うこと)
(4) 平成27年10月1日にB社から1,000,000円を借り入れを行った。金利は年間6%で、平成28年9月30日に元本返済と同時に利息も支払う。
(解答欄)
第61回3



例題61-1 解答
第61回4



(解説にあたり、PCの画面で解答欄と解説の文章を何度も往復するのは面倒だと思われますので、解答用紙を紙で印刷しておくことをおすすめします)

まず、精算表に記入していく前に決算整理仕訳を考えます。
そして、決算整理仕訳がわかったら精算表に記入します。

(1)は固定資産の減価償却の仕訳です。
試算表の列にて「建物」 1,000,000円があることがわかります。
第61回5


また、問題文にて耐用年数20年、残存価額は0円とのことなので
1,000,000円÷20年=50,000円が減価償却額となります。
また、科目の中に「減価償却累計額」という科目があるため、間接法による減価償却であることも読み取れます。
よって仕訳は以下の通りになります。

減価償却費 50,000 / 減価償却累計額 50,000
(減価償却の方法を忘れた方は第18回をご参考下さい)

この決算整理仕訳を、精算表の「修正記入」の欄に記入します。
第61回6


仕訳に従い、減価償却費50,000円を「修正記入」の借方の欄に、減価償却累計額50,000円を「修正記入」の貸方の欄に書き込んでいきます。

仕訳の貸借が必ず一致するように、この精算表の「修正記入」の欄においても必ず貸借一致するように記入していきましょう。
今回の場合、借方の欄に50,000円書き込んだら、貸方の欄にも50,000円を書き込むという意識を持っておくことが重要です。
そうしないと修正記入の借方だけ(又は貸方だけ)記入して、最後のPL,BSの数字が誤った金額になってしまうからです。

修正記入(決算整理仕訳)ができたらPL、BSの数値も確定します。
(決算整理前の試算表+決算整理仕訳がPL、BSの額になります)
第61回7



建物の科目は決算整理仕訳の影響はないので、試算表の金額(借方)1,000,000円がそのままBS(貸借対照表)の額になります。

減価償却累計額は試算表の額(貸方)300,000円+決算整理仕訳(貸方)50,000円=(貸方)350,000円がBSの額になります。

減価償却費は決算整理で出てくる仕訳なので、試算表の額もありません。なので、決算整理仕訳の50,000円(借方)がそのままPL(損益計算書)の額になります。

減価償却費がPL科目、減価償却累計額がBS科目ということを理解していないと、PLとBSのどちらの欄に転記したらよいのか迷ってしまいます。
減価償却費は「費」とあるのでPL科目と推測できますが、減価償却累計額はどちらかわからなくなるかもしれません。
どの科目がBSでどの科目がPLかわからなくなった場合は、試算表の「資本金」と「売上」の間に線を引いてみましょう
第61回8


試算表は通常BS科目、PL科目の順で並んでいます。
試算表の金額については、この「資本金」より上がBSの科目、「売上」より下がPL科目となると判断できます。

試算表に乗っていない科目(決算整理仕訳でしか出てこない科目)などがあるため、すべてのケースでこのように判断できるとは限りませんが、簿記3級であればかなりの確率でこの方法が適用できると思われます。
(もし資本金と売上の間に別の科目が出たとしても、その科目以外はBS科目かPL科目かの判断はできるはずです)

(2)は貸倒引当金の仕訳です。
試算表の欄に期末の売掛金の残高が170,000円とあります。
第61回9


売掛金残高に3%の貸倒引当金を計上する、とあるので、期末に計上されるべき貸倒引当金の金額は、170,000円×3%=5,100円 となります。

ところが、この金額をそのまま決算整理仕訳として計上しては誤りとなります。
試算表をよく見てみると、すでに貸倒引当金 2,000円が計上されています。
第61回10


これは前期末に計上されている貸倒引当金が残っているものです。
当期末に計上されるべき貸倒引当金は5,100円であり、既に2,000円が計上されているので、5,100-2,000円=3,100円について、貸倒引当金を計上する必要があります。

よって決算整理仕訳は以下のようになります。

貸倒引当金繰入 3,100 / 貸倒引当金 3,100
(貸倒引当金の処理を忘れた場合は第49回~51回をご参考下さい)

そして、精算表の修正記入の欄に書き込みます。
第61回11


修正記入の欄を書き込んだら、さらにPL,BSの欄に転記します。
第61回12


貸倒引当金はBS科目なので、試算表(貸方)2,000円+修正記入(貸方)3,100円=BS(貸方)5,100円 となります。(資本金より上の位置にあるので貸倒引当金はBS科目だと判断できます)

貸倒引当金繰入はPL科目です。決算整理前の試算表にはない科目であるため修正記入の3,100円がそのまま最終的なPLに転記されます。


(3)は売上原価の計算の仕訳です。もし処理がわからなければ、56回~58回を確認しましょう。
まず、決算整理前の試算表に載っている「繰越商品」の金額を確認します。
第61回13


この繰越商品32,000円は、決算整理前の金額です。つまり、前期末の商品在庫の残高です。
そして問題文より、期末の商品残高は70,000円とあります。

期首の繰越商品が32,000円、期末の繰越商品が70,000円なので、売上原価の算定の仕訳(仕、繰、繰、仕)は

仕入 320,000 / 繰越商品 32,000
繰越商品 70,000 / 仕入 70,000

となります。
この仕訳を精算表の「修正記入」に記載し、BS,PLに転記します。
第61回14


繰越商品は、試算表 32,000円-32,000円(修正記入 貸方)+70,000円(修正記入借方)=70,000円が最終的なBSに転記される金額となります。

一方、仕入は試算表 300,000円+32,000円(修正記入 借方)-70,000円(修正記入 貸方)=262,000円が最終的なPLに転記される金額となります。

ちなみに、この262,000円が売上(450,000円)に対応する売上原価となります。
仕入の動きは以下のようになります。
第61回15


(4) 借入金の利息の見越し計上の仕訳です。
平成27年10月1日に借入を行い、利息は平成28年9月30日に支払うことになっています。
当期の会計期間は平成27年4月1日~平成28年3月31日なので、平成27年10月1日~平成28年3月31日の6ヶ月間分は利息が発生していることになります。(下図の黄色の部分)
第61回16


当期中に発生している利息は、1,000,000円×6%×6ヶ月/12ヶ月=30,000円となります。よって仕訳は 支払利息 30,000 /未払利息 30,000 となります。
精算表の修正記入の欄に、この仕訳を記入し、BS,PLにも転記します。
第61回17


これで、修正記入(決算整理仕訳)が必要なものはすべて記入されました。

次に修正記入が必要のない科目(修正記入の欄に何も記入されていない科目)を試算表のままの金額でBS,PLに転記します。
転記する先(BS or PL)や、借方か貸方かに注意して転記していきましょう。

すると精算表は以下のようになります。
第61回18



最後に、損益計算書の欄に注目してください。
第61回19



売上が450,000円、仕入が262,000円というように、PLの項目が記載されています。
これを(今まで表示していた)見やすいPLの形式にすると以下のようになります。
第61回20


収益は合計で450,000円、費用は合計で345,100円です。よって差額の104,900円が利益となります。
第61回21

なので、精算表の「当期純[ ]」となっている科目名に「当期純 [利益]」と記入し、PLの列に104,900円を記入します。
第61回22



PLの当期純利益に金額を入れたら、BSの当期純利益の欄にも同じ金額を記載します。
ただし、PLとは貸借逆の欄に入れます。(PLの当期純利益が借方であれば、BSの当期純利益は貸方に記載する)
第61回23


これで精算表が完成しました。
すなわち、BSもPLも完成したことになります。

いかがでしたでしょうか。
一見、難しく見えるかもしれませんが、結局は個別の論点(減価償却や売上原価、収益費用の繰越し、見越し、貸倒引当金など)の仕訳ができれば、「修正記入」の欄に仕訳を記載して、BS,PLに転記するだけです。

精算表そのものの構造を理解することも大事ですが、個別論点の仕訳ができなければ正解にたどり着けません。

また、精算表は記入ミス(記載する場所の間違いや記載もれ)が多く発生します
「修正記入」に金額を入れた際は、必ず借方と貸方に同じ金額を記入したことを確かめてください。
(例 支払利息/未払利息 の修正記入)
第61回24



また、余裕があれば修正記入の借方の合計と貸方の合計が一致することも確認してください。
(この金額が一致しなければ、「修正記入」の欄で記載ミスが起こっています)
第61回25




検定試験では、当期純利益まで正解を狙いに行く必要はありません。
むしろ当期純利益を正解するということは、全問正解するのと同じことであるので、そこまでできなくても合格はできます。
個別の修正記入やBS,PLの欄に正しく転記ができていれば点数はとれます。

次回は、簿記の最終ステップ、PL,BSを使った問題について解説します。

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