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【第58回】決算手続(14)「売上原価(3) 分記法」

じっくり簿記 3級
【第58回】決算手続(14) 「売上原価(3) 分記法」 




こんにちは。たいちろうです。

前回まで、売上原価の計算方法の「三分法」について解説してきました。
今回からは「分記法」について解説いたします。

分記法は三分法のように、最悪「仕、繰、繰、仕」を暗記さえすればなんとかなるものではなく、きちんと仕訳のしくみを理解していないと正解までたどり着けません。

ただ、簿記3級は三分法の出題が多く、分記法は(三分法に比べると)出題頻度は少ないです。
リスクはありますが、分記法を覚える余裕がなければ分記法の論点は捨ててしまうのも一つの手です。

分記法とは

今まで「売上」や「仕入」という科目を使用して取引を解説してきました。
特に明示してきませんでしたが、実はこの「売上」や「仕入」という科目を使うのは三分法の処理を前提としています

分記法では「商品」と「商品売買益」という科目を使って取引を表します。

簿記3級の取引の仕訳は三分法が基本であり、分記法の場合は問題文に分記法である旨の指示があります。
もしくは、指示されていない場合でも科目名が「売上」や「仕入」ではないのですぐに分記法だとわかります。

例題で分記法による売買取引を説明していきます。


例題58-1 商品を10,000円で仕入れ、代金は掛けとした。(分記法)


例題58-1 解答
商品 10,000 / 買掛金 10,000

仕入の仕訳は非常にシンプルです。
10,000円分の商品を仕入れたので、「商品」というBS(資産)の科目が増加しました。

BS
第58回1



例題58-2 10,000円で仕入れた商品を、15,000円で売り上げ、代金は掛けとした。(分記法)


例題58-2 解答
売掛金 15,000 / 商品 10,000
     /商品売買益 5,000




10,000円で仕入れた商品を売って、商品が手元からなくなったので商品10,000円を貸方に計上します。
また、10,000円で仕入れた商品を15,000円で売り上げたので、差額の5,000円を「商品売買益」というPLの収益の科目として計上します。

BS
第58回2

商品10,000円がマイナスされます。

PL
第58回3

商品売買益5,000円が収益に計上されます。


三分法では、仕入れの際は「仕入」という費用の科目、売上の際は「売上」という収益の科目を使っていたと思いますが、分記法ではこれらの科目は使いません。
商品」と「商品売買益」という科目を使います。

実はこの分記法という方法は、売買目的有価証券の売却の仕訳と仕組みが同じなのです。
(3級 第15回 有価証券①「株式」 参照)

例:売買目的有価証券の購入、売却
(購入時)
売買目的で、A社の株式を10万円で購入した(普通預金から支払い)
売買目的有価証券 100,000 / 普通預金 100,000

(売却時)
10万円で購入したA社株式について15万円で売却した。代金は普通預金に振り込まれた。

 普通預金 150,000  /  売買目的有価証券  100,000
         / 有価証券売却益   50,000


この「売買目的有価証券」という科目を分記法の「商品」、「有価証券売却益」を「商品売買益」と読み替えると、まさに分記法の仕訳になります。

もし、分記法の仕訳を忘れてしまったら「売買目的有価証券の売却の仕訳と同じ」ということを思い出し、その仕訳を「商品」「商品売買益」という科目に置き換えれば解答できます。


ちなみに、分記法には三分法のような決算整理仕訳は必要ありません。
期中の取引の仕訳だけで完結します。

以下、三分法と分記法による違いを説明します。
(余裕があれば呼んで理解してください)

まず三分法について、

・三分法は、期中の取引は「売上」「仕入」で計上する。
・期末の決算整理仕訳で「繰越商品」という科目を使って、「仕入/繰越商品」「繰越商品/仕入」という仕訳を行い、「仕入」を修正して売上原価を計算する。

という処理でした。

例題58-2のように、10,000円で仕入れた商品を、15,000円で売り上げたという場合のPL(決算整理後)は以下のようになります。
第58回4


一方、これを分記法で仕訳を切った場合のPLは以下のようになります。(例題58-1のPLを再掲)
第58回5


どちらも利益が5,000円という結果は変わりません。

三分法は決算整理仕訳で売上原価を算出し、売上と売上原価(仕入)の差額で利益を計上しています。

しかし、分記法では期中の仕訳の段階でその商品売上にかかる利益(商品売買益)を計算してます。(これが分記法には決算整理仕訳がいらない理由です)

以下、分記法の仕訳を再掲します。

売掛金 15,000 / 商品 10,000
     /商品売買益 5,000


15,000円の売掛金(後の現金預金)が入ってくるのに対して、10,000円で仕入れた商品を引き渡しているので、利益は5,000円ということを、期中の仕訳で行っていることがわかります。
なので、分記法においてPLの収益に計上されている「商品売買益」は、三分法で言うところの利益の金額なのです。

このようなことから、三分法は「売上」と「費用」の総額を計上して利益を算定する方法であり、分記法は利益だけを(売上から費用を差し引いた後の)純額で計上する方法であるということがわかります。

商品売買を行うビジネスをしている会社や事業主のほとんどが三分法を採用していると言われています。
なぜなら、分記法は売り上げた商品ごとの仕入れの価格を常に把握しておく必要があり、管理が煩雑もしくは困難だからです。

同じ商品でも、仕入れた時期や仕入れた相手先で仕入単価が違うこともあり得るので、売上のつど、その売上に対応する仕入(分記法なので仕訳上は「商品」)の金額を把握しなければならないのは煩雑です。
スーパーやコンビニなど大量の売り買いの取引が発生するような業態では三分法でないと対応できません。

一方で、分記法は取り扱う商品の数が少なく、1つ1つの商品の仕入原価を把握するのが簡単な業態に向いています。
例えば中古車の販売や、骨董商など少数の商品を高額で販売している場合は、一つの商品ごとに利益を計算できたほうが経営管理に役立ちます。

また、三分法は期末になって決算整理仕訳をしないと商品売買の利益がわからないというデメリットもあります。分記法であれば取引のつど、商品の売上の利益が判明するという点でメリットがあります。


以上、分記法の仕訳および、三分法との違いでした。
後半の三分法と分記法の違いのくだりは完全に豆知識なので、覚える必要はありません。
分記法の仕訳について要約すると以下の通りです。

・仕入ではなく「商品」を使う
・売上の際は、売上に対応する商品を減少させ、受け取った対価(現預金や売掛金)との差額を「商品売買益」として計上する。
売掛金 ××  / 商品    ××
     /商品売買益 ××

・分記法の仕訳は売買目的有価証券の売買とほぼ同じ。

次回は、収益や費用を繰り越すための科目、「前払費用」「未払費用」「前受収益」「未収収益」を解説します。


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