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【第57回】決算手続(13)「売上原価(2) 三分法」

じっくり簿記 3級
【第57回】決算手続(13) 「売上原価(2) 三分法」 




こんにちは。たいちろうです。

前回、売上原価の計算方法について「三分法」と「分記法」があること、そして三分法において、売上に対応しない仕入は「仕入」(PL)からマイナスして「繰越商品」(BS)に振り替える必要があるということをお伝えしました。

前回の例を再掲します。

(1)仕入
1個1万円の商品を100個、すなわち100万円分の商品を掛けで仕入れた。

(仕訳)  仕入 1,000,000 / 買掛金 1,000,000
PL
第57回1


(2)売上
期中に、仕入れた商品のうち1個が1万5千円で売れた。(掛けで売上)

(仕訳) 売掛金 15,000 / 売上 15,000
PL
第57回2


(3)期末 決算仕訳にて、売れ残った在庫99個について、繰越商品に振り替える。
(仕訳) 繰越商品 990,000 / 仕入 990,000
PL
第57回3


BS
第57回4


ここまでが前回の説明でした。

今回は、この例の翌期の仕訳を説明いたします。
(今回は少し長めです)

期首と期末に在庫がある場合の売上原価の算定

上記の例の場合、期末に990,000円の繰越商品(翌期に繰り越す商品、在庫)があるということになります。
これは翌期から見れば、期首に990,000円の繰越商品(前期から繰り越された商品、在庫)があるという認識になります。

このように前期からの繰越商品があり、かつ、前述のように当期期末にも繰越商品がある場合はどのように売上原価の計算をすればよいでしょうか。

この場合は

(期首の繰越商品) 仕入  ××× / 繰越商品 ×××
(期末の繰越商品) 繰越商品 ××× / 仕入  ××× 

という仕訳を切ることになります。

これは非常に重要な仕訳なので、売上原価の計算の理屈が理解できなくてもこの仕訳だけは覚えてください。

左上から「仕入」「繰越商品」「繰越商品」「仕入」という順番になっているので、略して、
「仕」「繰」「繰」「仕」(し、くり、くり、し)という言葉で覚えると楽です。

以下、この仕訳の理屈を例題を使って解説いたします。


例題57-1 下記の場合について、
①決算整理仕訳を示しなさい。
②売上原価の金額を示しなさい。

期首において、前期からの繰越商品が990,000円(1個10,000円×99個)ある。
期中に商品を1個10,000円で100個(1,000,000円)仕入れた。(掛けで仕入)
また、商品は期中に1個15,000円で120個(1,800,000円)売れた。(掛けで売上)
期末時点で、 790,000円分の商品が残っている。(10,000円×79個)


例題57-1 解答
①仕入  990,000 / 繰越商品 990,000
繰越商品 790,000/ 仕入  790,000

②1,200,000円


まず①について、期首に存在する繰越商品と、期末に存在する繰越商品の仕訳(三分法)は以下のようになります。

(期首の繰越商品) 仕入  ××× / 繰越商品 ×××
(期末の繰越商品) 繰越商品 ××× / 仕入  ××× 


なので、期首の繰越商品が990,000円あるので
仕入  990,000 / 繰越商品 990,000

期末の繰越商品が790,000円あるので
繰越商品 790,000/ 仕入  790,000

という決算整理仕訳が必要になります。

なお、決算整理仕訳というのは、期末になり決算をする段階になって計上される仕訳のことです。
期中の売上や仕入等の取引のつど計上される仕訳とは異なり、決算の時だけ計上されます。

期末を迎えて、今年度1年間の売上と売れ残った在庫が確定しているから売上原価の計算ができるので、仕/繰/繰/仕の仕訳は決算整理仕訳です。

ちなみに問題文では
「期中に商品を1個10,000円で100個(1,000,000円)仕入れた。(掛けで仕入)」
「また、商品は期中に1個15,000円で120個(1,800,000円)売れた。(掛けで売上)」
という文言がありますが、これは期中の取引のつど切られる仕訳であり、決算整理仕訳ではありません。

仕入 1,000,000 / 買掛金 1,000,000
売掛金 1,800,000/ 売上 1,800,000

という仕訳が期中に計上されているはずですが、この問題の①は決算整理仕訳を問われているので、答えとしては仕/繰/繰/仕の仕訳のみとなります。

以下、参考にBS,PLで解説します。
(なお前回(第56回)の例題からの続きの問題であるため、期首のBSに売掛金と買掛金が存在します)

期首のBS
第57回5

(期首のPLはすべての科目が残高ゼロのため省略します。
BSは前期末の科目の残高が当期首に繰り越されますが、PLは毎期リセットされます)

期中の仕訳
仕入 1,000,000 / 買掛金 1,000,000
売掛金 1,800,000/ 売上 1,800,000

期中の仕訳を反映させたBS
第57回6


期中の仕訳で、BSに影響するのは売掛金と買掛金だけです。
売掛金が1,800,000円、買掛金が1,000,000円増加しました。

期中の仕訳を反映させたPL
第57回7


PLとしては、売上が1,800,000円、仕入が1,000,000円発生しています。

決算整理仕訳
仕入  990,000 / 繰越商品 990,000
繰越商品 790,000/ 仕入  790,000

決算整理仕訳を反映させたBS
第57回8


決算整理仕訳で繰越商品790,000円が計上されているため、その金額がそのまま期末のBSに計上される額となります。
あるいは、

期首 990,000円-決算整理仕訳 990,000円+決算整理仕訳790,000円=790,000円

と考えることもできます。

決算整理仕訳を反映させたBS
第57回9


決算整理前PLの「仕入」 1,000,000円 +決算整理仕訳 990,000 - 決算整理仕訳 790,000円 =1,200,000円

となります。

決算整理仕訳を計上した後の「仕入」勘定 1,200,000円が、売上1,800,000円に対応する売上原価となります。すなわち、②の解答は1,200,000円となります。

さらに言えば、売上1,800,000円-売上原価1,200,000円=利益600,000円となります。

決算整理仕訳(仕、繰、繰、仕)を計上する前のPLに計上されている「仕入」は、単純に期中に仕入れた金額を表しています。

しかし、決算整理仕訳(仕、繰、繰、仕)を計上した後のPLに計上されている「仕入」は売上原価、すなわち売上に対応する部分のみの仕入となるのです。

同じ「仕入」という科目であるのに、決算整理仕訳を切る前と後で、その金額が表す意味が異なることに留意してください。

以下、「仕、繰、繰、仕」の仕訳でどうして売上原価の計算ができるかを説明します。
知らなくても「仕、繰、繰、仕」の仕訳を暗記さえしていれば正解はできますが、理解しておくことをオススメします。

例題57-1の仕入の状況を要約すると、

期首商品棚卸高 990,000円
当期商品仕入  1,000,000円
期末商品棚卸高 790,000円

となります。これを図で示すと以下のようになります。
第57回10


左側は期首商品と期中に仕入れた商品の合計、すなわち当期に会社に入ってきた商品の合計です。これが1,990,000円となります。

一方で、期末に商品が790,000円残っていることも判明しています。
ということは、入ってきた商品1,990,000円から期末に残っている商品790,000円を引けば、売れて出て行った商品の仕入額(売上原価)がわかります。

よって、期首商品990,000円+期中仕入1,000,000円-期末商品790,000円=1,200,000円
が売上原価であることがわかります。
第57回11


期首商品990,000円+期中仕入1,000,000円-期末商品790,000円 という計算のうち、
期中仕入 1,000,000円は、期中の仕訳で既に「仕入」として計上されています。
(仕入 1,000,000 / 買掛金 1,000,000)

よって、期首商品を「仕入」にプラスし、期末商品を「仕入」からマイナスするということが必要になり、それが「仕、繰、繰、仕」の仕訳となります。

仕入  990,000 / 繰越商品 990,000
繰越商品 790,000/ 仕入  790,000

このことを踏まえ、もう一つ例題を解いてみましょう。


練習問題 57-2
以下の場合において、期末の決算整理仕訳を行いなさい。(売上原価は仕入勘定で算定すること)

期首商品棚卸高 200,000円
当期商品仕入  500,000円
期末商品棚卸高 300,000円


練習問題57-2 解答
仕入  200,000 / 繰越商品 200,000
繰越商品 300,000/ 仕入  300,000


期首の商品の金額を 仕入/繰越商品 の仕訳とし、期末の商品の金額を 繰越商品 / 仕入 とするだけです。
ちなみに、売上原価は、200,000円+500,000円-300,000円=400,000円となります。

なお、「売上原価は仕入勘定で算定すること」について、今までこの売上原価の計算の仕訳には「仕入」勘定を使ってきましたが、実は「売上原価」という勘定科目を使用する方法もあります。

その場合は「売上原価は売上原価勘定で算定すること」という設問になります。出題頻度が高くはないので、売上原価勘定を使った場合の仕訳は省略します。


以上、三分法による売上原価の計算を説明いたしました。
長くなりましたが、結論としては「仕、繰、繰、仕」という仕訳さえ覚えておけば簿記検定においては点数をとれるので、理屈はわからなくてもこの仕訳だけは覚えておいてください。

次回は、もう一つの売上原価の計算方法である「分記法」を説明いたします。

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