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【第20回】固定資産(4)「固定資産の売却(間接法)」

じっくり簿記 3級
【第20回】固定資産(4)「固定資産の売却(間接法)」




こんにちは。たいちろうです。

前回に引き続き、固定資産の売却を解説いたします。
今回は減価償却を間接法で行っていた場合の固定資産の売却の仕訳を説明いたします。
前回同様、減価償却を正しく理解している必要があります。


(2)-b間接法で減価償却している場合
間接法にて計上している場合の売却の仕訳の前に、いったん、間接法の減価償却の復習をします。


例題20-1 10月1日に1,000万円で購入した建物(残存価額:取得原価の10%、耐用年数10年)について、今年度分の減価償却を行う。当社の会計期間は4月1日から翌年の3月31日までである。(間接法にて処理すること)


例題20-1 解答 (借方)減価償却費 45 / (貸方) 減価償却累計額 45 (単位:万円)



直接法固定資産を直接マイナスしていましたが、間接法減価償却累計額という科目を貸方に使用します。


また、本問では期中に購入している、すなわち購入日から期末までの期間しか使用していないため、購入日から期末までの月割りで減価償却費を計算します。


今年度(4月1日~翌3月31日)の期間において、この固定資産は10月1日から翌3月31日までの6か月使用しているので、1年分の減価償却費×6ヶ月/12ヶ月という月割計算をします。

残存価額が10%であるため、償却できる部分が90%として、

1,000万円×90%÷10年=90万円(1年間の減価償却費)

90万円×6ヶ月/12ヶ月=45万円(減価償却費を月割)

これが減価償却費として計上されます。

以下、BS、PLです。

本問の仕訳を切る前のBS
第20回1

建物を1,000万円で取得した、となっているので、BSに建物が計上されています。

本問の仕訳を切った後のBS
第20回2



直接法とは違い、建物そのものは変わらず、「減価償却累計額」という科目を計上します。
これは資産のマイナス項目であり、金額の前にマイナス(△)を付して、△45万円と記載します。
(1,000万円-45万円=955万円が直接法によった場合の金額と一致します)


本問の仕訳を切った後のPL
第20回3


減価償却費が45万円、PLに計上されます。減価償却費については直接法も間接法も変わりません。


さて、ここから間接法による減価償却をしている場合での、固定資産の売却の説明をいたします。
固定資産の売却が起こったときは、売却する固定資産の「取得原価」とそれに係る「減価償却累計額」を減少させます。



例題20-2 1,000万円で購入した建物(減価償却累計額 45万円)を980万円で売却した。代金は小切手で受け取った。 (減価償却は間接法にて処理している)


例題20-2 解答 (借方)現金 980  /(貸方)建物       1,000  (単位:万円)    
  減価償却累計額 45 / 固定資産売却益   25



間接法の場合の固定資産の売却の仕訳は使用する科目が多いので、金額がわかる科目から埋めていくと正解の仕訳にたどり着けます。


まず、対価の現金980万円を借方に入れるというのは、すぐにわかると思います。

次に、減少させる「建物」と「減価償却累計額」ですが、売却の直前のBSを参考にするとわかりやすいと思います。
取得原価1,000万円で、減価償却累計額が45万円の場合のBS(間接法)は以下の通りです。(例題20-1のBSと同じもの)
      
仕訳を切る前のBS
第20回4


このように、建物が借方に1,000万円あり、また、それに係る減価償却累計額が貸方(借方のマイナス)に45万円あるということがわかれば、これらを減少させるためには仕訳で逆側に計上してあげればよいということになります。
すなわち、建物を貸方に、減価償却累計額を借方に計上するということです。

参考までに、ここまでに記入した仕訳は以下のようになります。

       (借方)現金        980  /(貸方)建物       1,000  (単位:万円)    
減価償却累計額 45 /


対価の現金980万円を借方に記入。そして、BSに載っている建物1,000万円と減価償却累計額45万円が消えるように、建物を貸方に、減価償却累計額を借方に記入しています。(作成途中の不完全な仕訳であり、貸借が一致していません)


最後に、借方の合計980万円+45万円=1,025万円と貸方の金額1,000万円の差額25万円が、この固定資産の売却損益(損失または収益)となります。

       (借方)現金        980 /(貸方)建物       1,000  (単位:万円)    
減価償却累計額 45 /固定資産売却益 25


この場合は貸方に25万円を記入することになるため、固定資産売却25万円となります。(PLの貸方=収益であるため、売却益となります。もし借方に記入する場合は費用すなわち売却損となります)


あるいは、直接法のように、売却金額-簿価で売却の損益を計算することもできます。本問の場合、この建物の簿価は1,000万円(取得価額)-45万円(減価償却累計額)=955万円であり、売却代金の980万円-955万円(簿価)=25万円が売却益であると考えることもできます。

本問の仕訳を切る前のBS
第20回5


本問の仕訳を切った後のBS
第20回6

建物1,000万円と減価償却累計額45万円が消えて、現金980万円が増加しています。

 
本問の仕訳を切った後のPL(例題20-1の続きと仮定)
第20回7





練習問題20-1 ×1年4月1日に3,000万円で購入した建物(耐用年数20年 残存価額10%)を×4年3月31日に2,500万円で売却した。代金は小切手で受け取った。売却時の仕訳はどのようになるか。(減価償却は間接法にて処理している)



練習問題20-1 解答 (借方)現金         2,500/(貸方)建物       3,000      
減価償却累計額 405/
固定資産売却損 95/ (単位:万円)



間接法の場合における固定資産の売却の仕訳を切るためには「売却代金」の他に、「固定資産の取得減価」と「固定資産の減価償却累計額」の情報が必要です。

しかし、本問の場合、減価償却累計額が記載されていないため、自分で計算する必要があります


購入から売却までの間(×1年4月1日~×4年3月31日)3年間が経過しているため、毎年の減価償却費の3年分が、売却時点(×4年3月31日)の減価償却累計額になります。


本問の建物は残存価額(償却しない部分)が10%であるので、償却する部分は90%です。

3,000万円×90%÷20年=135万円(1年分の減価償却費)

ちなみにこの減価償却の仕訳を表すと以下のようになります。

(借方)減価償却費 135/ (貸方) 減価償却累計額 135


売却時(×4年3月31日)は、取得してから3年間が経過しているので、減価償却費は135万円×3年=405万円が計上され、(間接法なので)同額が減価償却累計額として計上されています。


×1年4月1日 建物取得時のBS
第20回8



×4年3月31日 減価償却3年分控除後のBS
第20回9


この建物3,000万円と減価償却累計額405万円を、売却時に減少させます。
そして現金が2,500万円増加しているということを加味すると仕訳は以下のようになります。

(借方)   現金  2,500 /(貸方)建物       3,000      
減価償却累計額 405 /       (単位:万円)



ここで借方の合計(2,500万円+405万円=2905万円)と、貸方の3,000万円の差額95万円が売却損益になります。
本問の場合、借方に95万円を記入することで金額が一致します。よって、固定資産売却となります。

その結果、最終的に以下の仕訳になります。

(借方) 現金          2,500/(貸方)建物       3,000      
減価償却累計額 405/
固定資産売却損 95/ (単位:万円)


本問のBSとPLは以下のようになります。

売却の仕訳を切った後のBS
第20回10


建物3,000万円と減価償却累計額405万円が消えて、現金2,500万円が増加しています。

仕訳を切った後のPL
第20回11



減価償却費135万円は売却年度(×3年4月1日~×4年3月31日)の減価償却費です。

減価償却累計額405万円は、

×1年4月1日~×2年3月31日
×2年4月1日~×3年3月31日
×3年4月1日~×4年3月31日

の各年で、

(借方)減価償却費 135/ (貸方) 減価償却累計額 135 

という仕訳が切られた結果です。
この×3年4月1日~×4年3月31日の減価償却費がPLに載ってきます。
(PLは1年単位で作成するため、今年度のPLには1年分しか計上されません)

固定資産売却(間接法)の処理は以上で終わりです。
以下、今回の要旨です。

・「売却する固定資産の取得原価」とそれに係る「減価償却累計額」を減少させる。
・仕訳としては、「売却代金」の増加(借方)、「固定資産の減少」(貸方)「減価償却累計額の減少」(借方)を記入し、借方と貸方の差額を固定資産売却損益として計上する。
・売却損益について、借方に数字が入るときは売却損、貸方に数字が入るときは売却益になる。



簿記検定の試験でも、固定資産は必ずと言っていいほど出題される重要論点です。
特に間接法の減価償却は頻出ですので、必ず解けるようにしておくとよいと思います。

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