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【第13回】商品売買(5) 「為替手形」

じっくり簿記 3級
【第13回】 商品売買(5) 「為替手形」



こんにちは、たいちろうです。

前回、約束手形と、裏書譲渡について説明しました。

今回はもう一つの手形、「為替手形」について説明します。
為替手形の概念は1回で覚えるのは難しいかもしれません。2回、3回と読み返してしっかりと覚える必要があります。


為替手形とは
約束手形は、「手形を発行した人(振出人)が、手形を受け取った人(名宛人)にお金を支払う」という手形でした。

よって、約束手形を振り出した人はお金を支払うことになるし、受け取った人はお金を受け取ることができます。つまり、約束手形は必ず「自分」と「相手」の2者の間で現金や預金の授受が起こります
(裏書譲渡の場合でも、お金を払う側と受け取る側の2者しかいません)


しかし、為替手形は登場人物が2者ではなく、3者いることが特徴となります。

為替手形は「手形を発行した人(振出人)が、手形を受け取った人 (名宛人)に対して、指定の人に (指図人)にお金を払うように依頼する」という手形です。

すなわち、為替手形を発行する人は「○○さんにお金を支払って下さい」と、手形を受け取った人に指示するというのもです。(為替手形を発行する人は、支払を指示するだけで自分はお金を払いません)


例えば、自社が得意先(売上の相手先)であるA社に対して10万円の売掛金を持っており、一方で仕入先(仕入の相手先)のB社に対して10万円の買掛金を負っているとします。

この場合、通常は

・A社から10万円を回収する。
・B社に10万円を支払う

というように別々に決済を行います。





そこで、A社がB社に対して直接10万円を支払えば、一回で決済が終わります。
そこに着目し、A社に対して、お金をB社に支払うように依頼するもの、それが為替手形となります。




 ここでわかるように、約束手形は2者しか登場しないのに対し、為替手形は3者が関係してきます。

また、約束手形の「名宛人」はお金を受け取る人であるのに対し、為替手形の「名宛人」はお金を支払う人となっています。

名宛とは、「○○さん宛」とすることであり。郵便の宛名と同じものです。
よって、約束手形の宛名に書かれた人は、お金を受け取る人であるのに対して、為替手形の宛名に名前を書かれると、「○○さんにお金を払ってください」という指示を受けることになってしまうのです。

同じ言葉でも、約束手形と為替手形で意味が違うため、「振出人」とか、「名宛人」という言葉を「お金を支払う人」「お金を受け取る人」とに覚えないほうがよいと思われます。


為替手形は、手形を受け取った人に「お金を他の誰かに支払ってください」と依頼する手形であるため、振出人は「手形を発行した人」名宛人は「手形を受け取った人(手形の宛名に書かれた人)」と覚えれば、その宛名に名前を書かれる(=名宛人になる)ということはお金を支払わなくてはならないということが連想できると思います。

また、為替手形における、お金を支払う人すなわち名宛人を「支払人」または「引受人」、お金を受け取る人すなわち指図人を「受取人」と呼ぶこともあるそうです。


為替手形の「名宛人」「指図人」の処理
為替手形は「振出人」「名宛人」「指図人」の3者がおり、それぞれ処理が異なります。

しかし、実は自社が「名宛人」又は「指図人」の場合は、前回解説した、約束手形の処理と全く同じ処理になるのです。



例題13-1 自社はA社から商品10万円を仕入れたが、代金としてA社振出、B社受取の為替手形の引受を依頼されたため、引き受けた。

例題13-2 自社はC社に商品15万円分を売り上げたが、代金としてC社振出、D社引受の為替手形を受け取った。



例題13-1 解答 (借方)仕入 10 / (貸方) 支払手形 10 (単位:万円)
例題13-2 解答 (借方)受取手形 15 / (貸方) 売上 15 (単位:万円)



例題13-1は自社がお金を支払う人、つまり名宛人になったケース(「引き受けた」とは、手形の代金を支払うことを引き受けたということ。すなわち「名宛人」となる)であり、例題13-2は自社がお金を受け取る人、つまり指図人になったケースです。

○社振出、○社引受、などと問題文に書かれていて一瞬戸惑いますが、無視して問題ありません

結局は、仕入れの代金として支払をする手形を発行した、ということと、売上の代金としてお金をもらえる手形を受け取った、ということなので、約束手形と同様に、支払手形、受取手形を計上増加させることになります。

為替手形の問題では、自社が為替手形を振り出した場合でなければ、約束手形と同じ仕訳になるということを覚えておけば、混乱せずに済むと思われます。


ちなみに、本問は前回(第12回)の例題12-1,12-2と全く同じ解答になります。
前回の例題12-1,12-2を再掲いたしますので、約束手形の仕訳と同じであることを確認してください。


例題12-1 商品10万円を仕入れ、代金として約束手形を振り出した。
例題12-2 商品15万円分を売り上げ、代金として約束手形を受け取った。


例題12-1 解答 (借方)仕入 10 / (貸方) 支払手形 10 (単位:万円)
例題12-2 解答 (借方)受取手形 15 / (貸方) 売上 15 (単位:万円)


売上・仕入そのものだけではなく、売掛金・買掛金の回収/支払の際に為替手形を用いることもあります。


練習問題13-1 自社はA社に対して買掛金10万円を負っているが、A社より、A社振出、B社受取の為替手形の引受を依頼されたため、引き受けた。

練習問題13-2 自社はC社に対する売掛金が15万円あるが、その売掛金について、C社より、C社振出、D社引受の為替手形を受け取ることで回収した。


練習問題13-1 解答 (借方)買掛金 10 / (貸方) 支払手形 10 (単位:万円)
練習問題13-2 解答 (借方)受取手形 15 / (貸方) 売掛金 15 (単位:万円)



これも、例題13-1,13-2と同様に「自社が為替手形を振り出した」というケースではないため、単純に支払手形の増加および受取手形の増加の仕訳になります。

練習問題13-1はA社に対する買掛金がB社に対する支払手形に変わっただけ、練習問題13-2はC社に対する売掛金がD社に対する受取手形に変わっただけです。

本問のBSは以下のようになります。

             解答の仕訳を反映させる前のBS






解答の仕訳を反映させた後のBS



ちなみにこれは前回(第12回)の練習問題12-3,12-4との問題と全く同じ解答となります。
参考に、前回の練習問題12-3,12-4を再掲いたしますので、約束手形の処理と同じことを確認して下さい。



練習問題12-3 買掛金10万円を支払うため、約束手形を振り出した。
練習問題12-4 売掛金15万円の回収において、約束手形を受け取った。


練習問題12-3 解答 (借方)買掛金  10 / (貸方) 支払手形 10 (単位:万円)
練習問題12-4 解答 (借方)受取手形  15 / (貸方) 売掛金 15 (単位:万円)



為替手形の「振出人」の処理
為替手形の処理のうち、自社が「名宛人」(お金を支払う人)になる場合と、「指図人」(お金を受け取る人)になる場合は約束手形の処理と同じになるということを解説してきました。

以下で説明する、自社が為替手形の「振出人」となる場合、為替手形特有の処理になります。


まず、自社が為替手形の振出人である場合の仕訳は以下のようになります。


(借方)買掛金  / (貸方) 売掛金

売掛金と買掛金が両方とも減少します。

冒頭で使用した、為替手形の説明の図を再掲します。為替手形というのは、売掛金と買掛金を両方持っているときに、(下図)





その代金を、売掛金がある会社から、買掛金を負っている会社に直接支払ってもらうように依頼する手形です。(下図)




すなわち、売掛金と買掛金を相殺する取引なのです。
(=自分は買掛金を支払わなくて済むようになるかわりに、売掛金も受け取れなくなる)


よって、売掛金と買掛金の相殺の仕訳、すなわち、売掛金と買掛金の両方が減少する仕訳になります。

自社が為替手形を振り出した際はこのパターンの仕訳しかないので、ここは暗記してください。

「自社が為替手形を振り出した」という文言=(借方)買掛金 / (貸方)売掛金 となります。



練習問題 13-3 自社はA社に対する買掛金10万円を支払うため、B社(売掛金が10万円ある)を名宛人とする為替手形を、B社の引受を得て、振り出した。


練習問題13-3 解答 (借方)買掛金  10 / (貸方) 売掛金 10 (単位:万円)



「自社が(中略)為替手形を振り出した」と問題文に記載されているため、買掛金と売掛金を相殺する仕訳を切ることになります。

以下、練習問題13-3のBSになります。(前提として、もともと買掛金と売掛金が10万円ずつあったとしています)

解答の仕訳を切る前のBS






解答の仕訳を切った後のBS




為替手形を振り出したことにより、売掛金と買掛金がそれぞれ10万円ずつ減少しています。


簿記検定の為替手形の論点として、この自社が為替手形を振り出す際の仕訳が出やすいと思われますので、ここはしっかりと覚えて頂きたいと思います。


為替手形が決済された時
自社が為替手形の「名宛人」「指図人」の場合は、約束手形と同じように「支払手形」「受取手形」で処理するので、支払時/入金時も約束手形と全く同じ仕訳になります。

支払手形の支払時
(借方) 支払手形 /  (貸方) 現金or預金

受取手形の入金時
(借方) 現金or預金 /(貸方) 受取手形



では、自社が「振出人」の場合の為替手形が決済されたとき、どのように仕訳を切ればよいでしょうか。

正解は「仕訳なし」です。つまり、仕訳を切る必要がありません。


お金を支払うのも、受け取るのも、自社ではありません。
また、手形が決済されたからといって、自社の売掛金や買掛金に影響はありません。

よって為替手形の振出す場合の処理は、買掛金と売掛金の相殺の仕訳を切るだけで完了となります。


今回は以上となります。
初めて見ると理解しづらい為替手形ですが、仕訳自体は簡単なものばかりです。
今回の要点をまとめると、以下のようになります。


・為替手形は、「手形を発行した人(振出人)が、手形を受け取った人 (名宛人)に対して、指定の人に (指図人)にお金を払うように依頼する」という手形

・名宛人の場合は支払手形、指図人の場合は受取手形として仕訳を切る。(約束手形と全く同じ仕訳)

・振出人の場合は、売掛金と買掛金の相殺の処理、すなわち (借方) 買掛金 / (貸方) 売掛金 となる。


次回、「手形の割引」を解説し、商品売買の説明は終了になります。

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