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【第12回】商品売買(4) 「約束手形」「裏書譲渡」

じっくり簿記 3級
【第12回】 商品売買(4) 「約束手形」「裏書譲渡」



こんにちは、たいちろうです。

前回までは、仕入や売上など、商品売買そのものについて説明してきました。
今回からは取引の代金決済の方法の一つである「手形」について説明していこうと思います。

非常に重要な論点ですので、しっかり理解できるようにしておくことが望ましいです。

手形とは
手形は支払方法のひとつであり、小切手のように、手形を受け取った相手は銀行に手形を提示して換金することになります。

これだけでは小切手と同じであると思われるかもしれません。
小切手と違う点は、手形には「支払う者」「受け取る者」「支払日」が明記されていることです。


小切手には、誰が受け取るということも書いていませんし、支払日もありません(任意で記載することもできますが、法的拘束力がありません)。つまり、小切手は銀行に持っていけば、誰でも、いつでも換金できます。

手形を利用する目的として一番大きな理由は、支払期日を遅らせることにあります。
小切手を渡したらいつでも引き落とされる可能性があるし、掛け(買掛金)で払うという場合は通常1~2ヶ月が支払を延ばせる限度です。


しかし、手形であれば、一般的に3~4ヶ月後に支払日を設定してもおかしくありません。
商売を行うにあたり、キャッシュを持っておくことは非常に重要であり、売上などの債権は可能な限り早く回収し、支払が必要なものはできるだけ支払を遅らせることで、資金が尽きるリスクを回避できます。


また、手形はいわゆる「ツケ」である買掛金や売掛金よりも、確実に支払が実行される手段でもあります。
すなわち、買掛金や売掛金は、いつまでに支払うということ当事者間で決めておくだけなので支払遅延しても、ペナルティがありません。

一方で手形の支払遅延は、手形の不渡りとなり、口座の凍結という重大なペナルティがあるため事実上の倒産に繋がりかねません。

よって、手形の支払遅延というのは、よほどのことがなければありません。



手形には「約束手形」「為替手形(かわせてがた)」の2種類があります。
日本の商取引において利用されているのは、ほとんどが約束手形だそうです。


約束手形とは
約束手形は、期日までに、手形を振り出した(発行した)者が、手形を受け取る人に対して支払う、シンプルな手形です。

手形を振り出した者を「振出人(ふりだしにん)」、お金を受け取る者を「名宛人(なあてにん)」(手形に、受け取る人の名前が記載されるため)と呼びます。

振出人のことを「支払人」、名宛人のことを「受取人」と呼ぶこともあるそうです。

基本的に、約束手形の処理は売掛金や買掛金と似ています。

売上の代金として約束手形を受け取ったら「受取手形」、仕入の代金として約束手形を振り出したら「支払手形」を計上します。

受取手形はBSの資産の科目であり、増加するときは借方、減少するときは貸方に記入します。


受取手形増加の仕訳
(借方) 受取手形 ×× / (貸方)・・・・

売掛金減少の仕訳
(借方)・・・・/(貸方)受取手形 ××



支払手形はBSの負債の科目であり、増加するときは貸方、減少するときは借方に記入します。


支払手形増加の仕訳
(借方) ・・・・ / (貸方)支払手形 ××

支払手形減少の仕訳
(借方)支払手形  ××/(貸方)・・・・



また、手形は当座預金でお金を受け取る/支払うことになります。
(当座預金は小切手や手形の決済のための口座です)



例題12-1 商品10万円を仕入れ、代金として約束手形を振り出した。
例題12-2 商品15万円分を売り上げ、代金として約束手形を受け取った。


例題12-1 解答 (借方)仕入 10 / (貸方) 支払手形 10 (単位:万円)
例題12-2 解答 (借方)受取手形 10 / (貸方) 売上 10 (単位:万円)


掛けで商品を仕入れる/売り上げる場合の、買掛金と売掛金が、支払手形と受取手形になっているだけです。
例題12-1,12-2の仕訳を反映させたPL,BSは以下の通りです。

PL




BS





練習問題12-1 仕入代金として振り出した約束手形10万円の期日が到来し、当座預金から引き落とされた。
練習問題12-2 売上代金として受け取った約束手形15万円の期日が到来し、当座預金に入金された。


練習問題12-1 解答 (借方)支払手形  10 / (貸方) 当座預金 10 (単位:万円)
練習問題12-2 解答 (借方)当座預金  15 / (貸方) 受取手形 15 (単位:万円)




支払手形、受取手形は当座預金で決済されます。
この練習問題12-1,12-2が例題12-1,12-2の続きであると仮定した場合、BSは以下のようになります。




支払手形が決済され当座預金が10万円減少し、受取手形が決済され当座預金が15万円増加します。
(最初の支払手形決済時に当座預金残高は0円なのですが、当座借越を利用していると考えてください)

また、練習問題12-1,12-2の仕訳は全てBSの科目のみであり、PLに影響はありません。
よってPLは例題12-1,12-2から変化はありません。


売掛金や買掛金の支払が到来した際に約束手形を振り出す/受け取ることもあります。


練習問題12-3 買掛金10万円を支払うため、約束手形を振り出した。
練習問題12-4 売掛金15万円の回収において、約束手形を受け取った。


練習問題12-3 解答 (借方)買掛金  10 / (貸方) 支払手形 10 (単位:万円)
練習問題12-4 解答 (借方)受取手形  15 / (貸方) 売掛金 15 (単位:万円)



練習問題12-1は買掛金が減少し、支払手形が増加しています。
すなわち、先方に対する債務の種類を買掛金から支払手形に変更したことになります。

これは、掛けで取引をしたが、単なるツケ(買掛金/売掛金)よりも、確実に支払が起きる約束手形にしてほしい、という取引先からの要請があった場合の仕訳と思われます。

あるいは自社としても、もう少し支払を延ばしたいという理由で、買掛金から支払手形に変更しているということも考えられます。

同様に、練習問題12-2も取引先に対する債権の種類を売掛金から受取手形に変更している仕訳です。



練習問題12-3、12-4の前提として売掛金が15万円、買掛金が10万円あるとするとBSは以下のようになります。




解答の仕訳を切ることで、BSは以下のようになります。





売掛金が受取手形に、買掛金が支払手形に変わっていることがわかります。


手形の裏書
約束手形は他人に譲渡することができます。

先述のように、手形は現金化するまでに時間がかかります。
そこで、支払の対価として現金の代わりに、保有している受取手形を引き渡すことができます。

受取手形を他者に引き渡すことを「裏書譲渡」と言います。
これは手形を他の者に譲渡する際に、手形の裏面に自分の名前を署名する必要があるため、このように呼ばれます。


手形を裏書譲渡する際の仕訳は、受取手形の減少として処理します。


例題12-3 A社から受け取った約束手形が15万円ある。
B社から商品15万円を仕入れ、代金としてA社が振り出した約束手形を裏書譲渡して支払った。

例題12-3 解答 (借方)仕入  15 / (貸方) 受取手形 15 (単位:万円)



商品の仕入の取引であるので、借方の科目は仕入になります。
そして、代金の支払方法(貸方)は、従来であれば、現金や買掛金、あるいは支払手形などを計上していました。

しかし問題文より、すでに受取手形15万円を持っているという状態であり、この手形を支払に充てたと書いてあるため、受取手形が減少する、すなわち受取手形を貸方に記入することになります。



例題12-3の仕訳を反映させる前のBS



約束手形を15万円持っているという前提が問題文にあるため、資産に受取手形があります。

例題12-3の仕訳を反映させた後のBS



受取手形を支払に用いたため、受取手形が減少してなくなっています。
受取手形を現金の代わりとして使ったと考えることもできます。



練習問題12-5 A社から受け取った約束手形が15万円ある。B社に対する買掛金15万円を支払うため、A社が振り出した約束手形を裏書譲渡した。

練習問題12-5 解答 (借方)買掛金  15 / (貸方) 受取手形 15 (単位:万円)



例題12-3では、仕入そのものの対価として手形を譲渡していましたが、今回は買掛金の支払の対価として手形を譲渡しています。
そのため、買掛金が減少(借方に買掛金)すると同時に、受取手形も減少(貸方に受取手形)するということになっています。

練習問題12-5の仕訳を反映させる前のBS


問題文より、受取手形と買掛金が15万円ずつあります。

練習問題12-5の仕訳を反映させた後のBS



受取手形と買掛金が同時に減少し、それぞれゼロになっています。受取手形と買掛金を相殺したと考えることもできます。


ちなみに、裏書譲渡された手形を受け取る場合は、通常の約束手形を受け取った場合と同じ仕訳になります。

例えば、A社に対する売上15万円の代金として、第三者であるB社が発行した約束手形をA社が裏書譲渡してきた場合の仕訳は

(借方)受取手形  15 / (貸方) 売上 15

となります。

直接の取引先(A社)が振り出した手形も、第三者(B社)が発行して裏書されて自社に回ってきた手形も、自社から見たらお金を受け取れることに違いはありません。同じ受取手形です。


余談ですが、裏書譲渡した手形が不渡りを起こしたら、裏書した人に支払義務が発生します。

例えば、まずA社に対する売り上げの代金を手形で受け取り、次にB社から仕入の代金をA社から受け取った手形で支払ったとします(裏書譲渡)。

特に問題がなければ、B社は支払日にA社から代金を受け取ることになり、自社は関係ありません。しかし、もし支払期日になって、A社が倒産していたら、なんと支払の義務は裏書をした自社に回ってきます。

B社から見たら商品を引き渡し、その代金として自社から受け取ったA社の手形が何の価値もなかったのですから、その対価を自社に請求してくるのは当然といえば当然です。

手形の裏書をするということは連帯保証人になるということとほぼ同義です。

「ナニワ金融道」という金貸しをテーマにした漫画で、これを悪用して、何も知らない人に、倒産しそうな会社が振り出している手形の裏面にサインを求め、手形が不渡りを起こしたら裏書した人に取り立てにいくというシーンがありました。



今回はここまでです。

約束手形について、
・手形を振り出したら「支払手形」、手形を受け取ったら「受取手形」を計上する
ということ

また、手形の裏書譲渡については
・手形を譲渡したら、受取手形の減少
ということが理解できていれば、相手科目については、仕入であれば仕入、買掛金の支払であれば買掛金の減少というように対応することができます。

冒頭で、手形には「約束手形」と「為替手形」の2種類があるとお伝えしましたが、次回は為替手形を説明いたします。

為替手形は約束手形と違い、少し複雑になります。

暗記よりも仕訳の理解を重視して解説していこうと思います。

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