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【第8回】現金関連④ ~「小口現金」~

じっくり簿記 3級

【第8回】 現金関連④ 「小口現金」



こんにちは。たいちろうです。

今回は、現場の社員に現金を渡して後で使った経費分を精算する「小口現金」を解説いたします。
現金関連の解説は今回で最後となります。

日商簿記3級の試験の第一問は仕訳を書かせる問題になっています。(今までの本講座の例題や問題の形式と同じです) 

そこで、現金過不足や当座借越、小口現金などが出題されます。
第一問は小問5つに分かれており、各4点×5問で、第一問を全部正解できれば20点を稼ぐことができます。
第一問の仕訳問題では、使用できる科目が列挙されていますので、わからなくてもある程度科目の名前から予想することも可能ですが、逆に紛らわしい科目が並べられている引っ掛け問題もあるので注意してください。

小口現金とは
小口現金(こぐちげんきん)とは、営業担当などの現場の社員が業務で使用するために渡しておく現金のことです。

通常、社員が業務において経費を使ったら、経理部にその都度、経費を請求します。
そして、経理部は現金を支払い、仕訳を切ります。


しかし、規模の大きい会社で大量の経費精算が毎日届くような場合、いちいち現金の金庫からお金を取り出して支払いの手続きをしたり、その仕訳などをしていたら、それだけでかなりの時間がかかってしまい非効率です。


そこで、現場の特定の人(営業事務や管理職など)に一定の金額を渡しておき、社員はその人に経費を請求して、お金を受け取るという小口現金システムが採用されます。


そして、小口現金の担当者は経費の内容や使った日を記録しておき、月末にその明細を経理に渡します。
こうすることで、経理は社員全員に個別に経費精算する手間を省き、さらに1ヶ月分の経費の仕訳をまとめて切ることができるようになります。


このように、経理業務の効率化などを目的として小口現金は利用されます。

ちなみに、上述の例のように小口現金を前渡しして後でまとめて精算する方法を定額資金前渡法(インプレストシステム)と呼び、小口現金を管理する人を小口係もしくは用度係と呼ぶそうですが、簿記検定の学習では覚える必要はありません。



小口現金の会計処理
小口現金は現金と同じく資産です。よって仕訳では、増加したら借方に、減少したら貸方に記入します。


小口現金増加の仕訳
(借方) 小口現金 ×× / (貸方)・・・・




小口現金減少の仕訳
(借方)・・・・/(貸方)小口現金 ××



例題8-1 経理部はA事業部の小口現金管理担当者に、小口現金として100万円を現金で手渡した。

例題8-1   解答  (借方)小口現金 100 / (貸方) 現金 100 (単位:万円)

小口現金が100万円増加しているので、借方に小口現金を計上します。
また、現金を手渡している、すなわち現金が減少しているので、現金を貸方に計上します。

つまり、現金が小口現金に置き換わったと考えることができます。

小口現金を渡す前のBSは以下の通りです。(現金を500万円所持していると仮定)

第八回①
 


小口現金を担当者に渡した際の仕訳を反映させると以下のようになります。

第八回② 



現金が100万円減り、小口現金が100万円増えています。

当然ですが、小口現金も現金であることには変わりません。
会社内の経理にあった現金を事業部の担当者に渡しただけで、現金が「小口現金」という特殊な貨幣に変化した訳ではありません。

これは、単に、BSを見れば経理部の金庫で保管している現金(=現金)と、事業部に渡してある現金(=小口現金)がそれぞれいくらあるのかを把握できる、というように管理のために分けているだけです。


例題8- 2 A事業部の小口現金管理担当者は100万円の小口現金を管理している。
事業部の営業社員より、交通費2万円を精算したいとの申請があったため、社員に2万円を渡し、その記録をした。
仕訳が発生しない場合は「仕訳なし」とする。
(使用する科目:旅費交通費、小口現金) 

例題8-2  解答 仕訳なし


現場の社員が小口現金で経費を精算した場合は「仕訳なし」となります。

仕訳を切るのは経理担当者であり、現場の小口現金管理者がいくら使用したという情報を経理担当者に渡さない限り、経理担当者は把握しようがなく、仕訳を切ることができません。


例題8-3 A事業部の小口現金管理担当者は経理担当に対し、今月の小口現金の使用状況を報告した。内容は次の通りである。交通費20万円、会議の際の弁当/お茶菓子代5万円、切手や荷物の郵送の代金15万円。(使用する科目:旅費交通費、会議費、通信費、小口現金)
なお、当初預かっていた小口現金は100万円である。


例題8-3 解答  (借方)旅費交通費 10 / (貸方) 小口現金 40
(借方) 会議費 5 /
(借方)通信費 15 /               (単位:万円)

経理担当が小口現金管理担当者から、今月の小口現金の使用の報告を受け、仕訳を切る場面です。

現場社員が使用した経費を小口現金から払い出した、ということが分かったため、払い出した金額合計分、小口現金の減少すなわち貸方に小口現金を記入します。


また、払い出したお金は会社の費用であるので、費用の発生すなわち借方に費用を記入します。
ちなみに、切手代は通信費という科目になります。


BSは以下の通りになります。
仕訳を切る前のBS
第八回③ 
仕訳を反映させた後のBS
第八回④ 


小口現金を40万円払い出したという仕訳を切っているので、小口現金は残り60万円になっています。
ちなみに、費用が出てきているので、一応PLを作成すると以下のようになります。
第八回⑤ 

BSの借方である小口現金が40万円減り、同額がPLの借方の費用になっていることがわかります。


例題8-4 経理担当者はA事業部の小口現金管理担当者に対して、小口現金の補充として40万円を現金で手渡した。なお、補充する前にA事業部が持っている小口現金は60万円である。

例題8-4 解答  (借方)小口現金 40 / (貸方)  現金 40 (単位:万円)


事業部において小口現金が使用され減少したため、補充をしている仕訳です。小口現金を渡した例題1と同じ仕訳になります。この小口現金の補充により、小口現金の残高は100万円になります。BSは次の通りです。

第八回⑥ 



さて、それでは実際に小口現金の問題を解いてみましょう。


練習問題8-1 経理部はB事業部の小口現金管理担当者に、小口現金として100万円分の小切手を渡した。



練習問題8-1 解答  (借方)小口現金 100 / (貸方) 当座預金 100 (単位:万円)

例題8-1と同じく、現場担当者に小口現金を渡している仕訳なので、小口現金を増加させています。
しかし、現金ではなく小切手を渡しているため、当座預金の減少となっています。


担当者はこの後、銀行にて現金に換金して使うことになります。
これはネットバンキングが無い時代に、遠く離れた支店に小口現金を渡すには小切手を郵送し、受け取った担当者が銀行に行って現金化するという方法をとっていたという状況であったからだそうです。

オンラインの送金ができる現代では、あまり馴染みがない仕訳であり、不自然に感じてしまうかもしれませんが、簿記検定の問題ではよく出てくるケースなので仕訳は切れるようにしておきましょう。


練習問題8-2 B事業部の小口現金管理担当者は経理担当に対し、今月の小口現金の使用状況を報告した。
内容は次の通りである。

交通費35万円、会議の際の弁当/お茶菓子代10万円、切手や荷物の郵送の代金20万円
(使用する科目:旅費交通費、会議費、通信費、小口現金)

また、経理担当は直ちに使用された金額と同額の小切手を渡し、小口現金を補充した。


練習問題8-2 解答 (借方)旅費交通費 35 / (貸方) 当座預金 40
    (借方)会議費       10 /
         (借方)通信費        20 /               (単位:万円)


基本的には例題3と同様に、使用した費用を計上しています。
しかし、例題3との違いは「直ちに使用された金額と同額の小切手を渡し、小口現金を補充した」という1文があることです。

これにより、貸方が小口現金ではなく当座預金となっています。


これは、①小口現金の精算により小口現金を減らしたという仕訳と、②小口現金を補充するため小切手を振り出した(当座預金を減らす)という仕訳を合体させているためです。

具体的には例題8-3と例題8-4の仕訳を合体させているようなものです。

本問に照らし合わせると、①の仕訳は

(借方)旅費交通費 35 / (貸方) 小口現金 40
(借方) 会議費    10 /
(借方)通信費       20 /               (単位:万円)


となり、②の仕訳は

(借方)小口現金 40 / (貸方) 当座預金 40

となるはずです。

この①と②の仕訳を合体させて表示すると以下のようになります。(③)

(借方)旅費交通費 35 / (貸方) 小口現金 40
(借方)会議費 10          /
(借方)通信費 20          /                
(借方)小口現金40       /(貸方)   当座預金 40        (単位:万円)

③の仕訳において、小口現金が借方と貸方に同額出ています。この部分を省略します。

(借方)旅費交通費 35 / (貸方) 小口現金 40
(借方)会議費 10  / 
(借方)通信費 20  /                
(借方)小口現金40 / (貸方)当座預金 40        (単位:万円)

よって最終的に解答の仕訳

(借方)旅費交通費35 / (貸方) 当座預金 40
(借方)会議費 10 /
(借方)通信費 20 /                    (単位:万円)            
となります。


もちろん、合体させない仕訳でも間違いではありません。
ただ、簿記検定などでは解答の記入スペースが、仕訳を合算させないと書き込めない大きさになっていたりする場合があります。

「直ちに~した」などの文言がある場合は仕訳を省略できるかどうか考える必要があります。

以上で、小口現金の解説を終わりとします。

小口現金の要点は以下の通りです。

・小口現金は資産。増加は借方、減少は貸方。
・経理担当に、使用した小口現金の明細が届いたときに、小口現金の減少及び費用の計上が行われる。
((借方)費用 ××/(貸方)小口現金 ××の仕訳)
・「直ちに補充した」等の文言があった場合、仕訳において、精算による小口現金の減少と補充による小口現金の増加の仕訳が省略され、
(借方)費用 ××/(貸方)現金(or当座預金など) ××
という仕訳になる。


これにて現金関連の講座は終了となります。

次回以降は、商売における取引の中核である「商品売買」を解説いたします。


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