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【第62回】決算手続(18)「貸借対照表と損益計算書」

じっくり簿記 3級
【第61回】決算手続(18)  「貸借対照表と損益計算書」



こんにちは。たいちろうです
今回は、簿記の最終目的である「貸借対照表(BS)」と「損益計算書(PL)」について説明します。

BSとPLは今までの解説で何度も出てきたと思いますが、それらはあくまで仕訳がどのようにBS,PLに反映されるかを理解していただくために、簡便的に表示してきたものです。

正式な貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)は、形式が少しだけ違います。
ただし、形式が違うだけで実質的には今まで解説で使用してきた簡便的なBS,PLと変わりはないので、すぐに理解できると思います。

例として、前回(第61回)使用した精算表をもとにPL,BSを作成してみます。
まず、前回の精算表を再掲いたします。
第62回1


ここからPL,BSを作成するのですが、端的に言うと、この精算表から「損益計算書」の欄と、「貸借対照表」の欄を抜き出すだけです。
第62回2


まず、精算表からPL(損益計算書)を抜き出すと以下のようになります。
第62回3




基本的には、精算表の「損益計算書」の欄の科目と金額をそのまま抜き出しただけです。
ただし精算表における「仕入」が、PLにおいては「売上原価」になっています。

売上原価の計算の際に、「売上原価は「仕入」勘定を使って算定すること」というパターンがありましたが(第57回参照)、それはあくまで決算整理手続きにおける科目であり、最終的なPLでは売上原価は「売上原価」という科目を使用します。

上記の正式なPLを、あえて今まで表示してきた簡便的なPLに置き換えて表示すると以下のようになります。
第62回4


形式が違うだけで、内容は全く一緒であることがわかると思います。

次に、BS(貸借対照表)について、精算表の「貸借対照表」の欄から抜き出してみます。
第62回5



こちらも基本的には精算表の「貸借対照表」の欄から抜き出しただけです。

ただし、「繰越商品」「貸倒引当金」「減価償却累計額」は精算表の表記が異なります。

・「繰越商品」は「商品」になっています。
・貸倒引当金は、売掛金に対して将来貸倒れが発生すると見込まれる金額であるため、「売掛金のマイナス項目」となっています。(第49回参照)

・減価償却累計額は、建物等の固定資産に対する今までに発生した減価償却費の累計であるため、発生原因となる「固定資産(この例の場合は建物)のマイナス項目」となっています。(第18回参照)


上記の正式なBSを、今まで表示してきた簡便的なBSに置き換えて表示すると以下のようになります。
第62回6




こちらも形式以外に変わりはないと思います。
ちなみに、「当期純利益」がBSの「純資産」の欄にありますが、これはPLの当期純利益と一致します。

PLで当期の収益から費用を引いた利益を計算し、それがBSの純資産に蓄積されていきます。(これが一般的な経済ニュース等で言われる、「内部留保」と呼ばれるものになります)

今回は以上となります。
基本的には精算表(=決算整理後の試算表)からBS,PLの部分を抜き出すだけです。


次回は、最後の手続きとして「帳簿の締め切り」を解説いたします。

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【第61回】決算手続(17)「精算表」

じっくり簿記 3級
【第61回】決算手続(17)  「精算表」



こんにちは。たいちろうです
今回から損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)を作成するための前段階である「精算表」の作成について説明していきます。

簿記3級の試験において精算表はほぼ毎回出題されており、配点も大きい(100点中の30点!)論点です。

ちなみに「精算表」という個別の論点として扱っていますが、解答するにあたり今まで学習してきた決算の手続きの知識が必須になります。
もし例題を見て、その決算手続の方法を忘れていたら、その論点の回を再確認することをおすすめします。

今回は例題として総合問題を使用するため、かなり分量が多い回となっています。
なるべく時間のある時に集中して読むことをおすすめします。

精算表とは
決算手続きは「決算整理前の試算表」に「決算整理仕訳」を加えて、最終的なBSやPLの数値になるというものです。(この流れが思い出せない場合は第48回をご参考ください)
この決算の一連の流れがわかるように「試算表」「決算整理仕訳」「PL」「BS」の数値が一覧になっているものです。
第61回1


一見、たくさんの項目があって複雑な表に見えますが、どのように構成されているかを理解すればそんなに難しくはありません。

精算表は先述のように「試算表」「決算整理仕訳」(「修正記入」という名前になっています)「PL」「BS」の各数値が借方/貸方ごとに、縦に並べられているということを理解すれば見方がわかると思います。
第61回2



試験で出題される形式としては、「試算表」の数字が所与として記入されており、決算整理手続きが問題として与えられ、精算表の決算整理手続の欄(修正記入の欄)、PL、BSに数字を入れていくというパターンが多いと思います。

以下、例題を通じて説明していきます。
今までの決算整理仕訳の知識を総動員する必要があります。


例題61-1 以下の決算整理事項に関して精算表を完成させなさい。なお、当期の会計期間は平成27年4月1日~平成28年3月31日である。
(1) 建物について定額法による減価償却を行う。耐用年数は20年、残存価額は0円とする。
(2) 期末の売掛金残高に対して3%の貸倒引当金を計上する。
(3) 期松の商品残高は70,000円であった。(売上原価の算定は「仕入」の科目で行うこと)
(4) 平成27年10月1日にB社から1,000,000円を借り入れを行った。金利は年間6%で、平成28年9月30日に元本返済と同時に利息も支払う。
(解答欄)
第61回3



例題61-1 解答
第61回4



(解説にあたり、PCの画面で解答欄と解説の文章を何度も往復するのは面倒だと思われますので、解答用紙を紙で印刷しておくことをおすすめします)

まず、精算表に記入していく前に決算整理仕訳を考えます。
そして、決算整理仕訳がわかったら精算表に記入します。

(1)は固定資産の減価償却の仕訳です。
試算表の列にて「建物」 1,000,000円があることがわかります。
第61回5


また、問題文にて耐用年数20年、残存価額は0円とのことなので
1,000,000円÷20年=50,000円が減価償却額となります。
また、科目の中に「減価償却累計額」という科目があるため、間接法による減価償却であることも読み取れます。
よって仕訳は以下の通りになります。

減価償却費 50,000 / 減価償却累計額 50,000
(減価償却の方法を忘れた方は第18回をご参考下さい)

この決算整理仕訳を、精算表の「修正記入」の欄に記入します。
第61回6


仕訳に従い、減価償却費50,000円を「修正記入」の借方の欄に、減価償却累計額50,000円を「修正記入」の貸方の欄に書き込んでいきます。

仕訳の貸借が必ず一致するように、この精算表の「修正記入」の欄においても必ず貸借一致するように記入していきましょう。
今回の場合、借方の欄に50,000円書き込んだら、貸方の欄にも50,000円を書き込むという意識を持っておくことが重要です。
そうしないと修正記入の借方だけ(又は貸方だけ)記入して、最後のPL,BSの数字が誤った金額になってしまうからです。

修正記入(決算整理仕訳)ができたらPL、BSの数値も確定します。
(決算整理前の試算表+決算整理仕訳がPL、BSの額になります)
第61回7



建物の科目は決算整理仕訳の影響はないので、試算表の金額(借方)1,000,000円がそのままBS(貸借対照表)の額になります。

減価償却累計額は試算表の額(貸方)300,000円+決算整理仕訳(貸方)50,000円=(貸方)350,000円がBSの額になります。

減価償却費は決算整理で出てくる仕訳なので、試算表の額もありません。なので、決算整理仕訳の50,000円(借方)がそのままPL(損益計算書)の額になります。

減価償却費がPL科目、減価償却累計額がBS科目ということを理解していないと、PLとBSのどちらの欄に転記したらよいのか迷ってしまいます。
減価償却費は「費」とあるのでPL科目と推測できますが、減価償却累計額はどちらかわからなくなるかもしれません。
どの科目がBSでどの科目がPLかわからなくなった場合は、試算表の「資本金」と「売上」の間に線を引いてみましょう
第61回8


試算表は通常BS科目、PL科目の順で並んでいます。
試算表の金額については、この「資本金」より上がBSの科目、「売上」より下がPL科目となると判断できます。

試算表に乗っていない科目(決算整理仕訳でしか出てこない科目)などがあるため、すべてのケースでこのように判断できるとは限りませんが、簿記3級であればかなりの確率でこの方法が適用できると思われます。
(もし資本金と売上の間に別の科目が出たとしても、その科目以外はBS科目かPL科目かの判断はできるはずです)

(2)は貸倒引当金の仕訳です。
試算表の欄に期末の売掛金の残高が170,000円とあります。
第61回9


売掛金残高に3%の貸倒引当金を計上する、とあるので、期末に計上されるべき貸倒引当金の金額は、170,000円×3%=5,100円 となります。

ところが、この金額をそのまま決算整理仕訳として計上しては誤りとなります。
試算表をよく見てみると、すでに貸倒引当金 2,000円が計上されています。
第61回10


これは前期末に計上されている貸倒引当金が残っているものです。
当期末に計上されるべき貸倒引当金は5,100円であり、既に2,000円が計上されているので、5,100-2,000円=3,100円について、貸倒引当金を計上する必要があります。

よって決算整理仕訳は以下のようになります。

貸倒引当金繰入 3,100 / 貸倒引当金 3,100
(貸倒引当金の処理を忘れた場合は第49回~51回をご参考下さい)

そして、精算表の修正記入の欄に書き込みます。
第61回11


修正記入の欄を書き込んだら、さらにPL,BSの欄に転記します。
第61回12


貸倒引当金はBS科目なので、試算表(貸方)2,000円+修正記入(貸方)3,100円=BS(貸方)5,100円 となります。(資本金より上の位置にあるので貸倒引当金はBS科目だと判断できます)

貸倒引当金繰入はPL科目です。決算整理前の試算表にはない科目であるため修正記入の3,100円がそのまま最終的なPLに転記されます。


(3)は売上原価の計算の仕訳です。もし処理がわからなければ、56回~58回を確認しましょう。
まず、決算整理前の試算表に載っている「繰越商品」の金額を確認します。
第61回13


この繰越商品32,000円は、決算整理前の金額です。つまり、前期末の商品在庫の残高です。
そして問題文より、期末の商品残高は70,000円とあります。

期首の繰越商品が32,000円、期末の繰越商品が70,000円なので、売上原価の算定の仕訳(仕、繰、繰、仕)は

仕入 320,000 / 繰越商品 32,000
繰越商品 70,000 / 仕入 70,000

となります。
この仕訳を精算表の「修正記入」に記載し、BS,PLに転記します。
第61回14


繰越商品は、試算表 32,000円-32,000円(修正記入 貸方)+70,000円(修正記入借方)=70,000円が最終的なBSに転記される金額となります。

一方、仕入は試算表 300,000円+32,000円(修正記入 借方)-70,000円(修正記入 貸方)=262,000円が最終的なPLに転記される金額となります。

ちなみに、この262,000円が売上(450,000円)に対応する売上原価となります。
仕入の動きは以下のようになります。
第61回15


(4) 借入金の利息の見越し計上の仕訳です。
平成27年10月1日に借入を行い、利息は平成28年9月30日に支払うことになっています。
当期の会計期間は平成27年4月1日~平成28年3月31日なので、平成27年10月1日~平成28年3月31日の6ヶ月間分は利息が発生していることになります。(下図の黄色の部分)
第61回16


当期中に発生している利息は、1,000,000円×6%×6ヶ月/12ヶ月=30,000円となります。よって仕訳は 支払利息 30,000 /未払利息 30,000 となります。
精算表の修正記入の欄に、この仕訳を記入し、BS,PLにも転記します。
第61回17


これで、修正記入(決算整理仕訳)が必要なものはすべて記入されました。

次に修正記入が必要のない科目(修正記入の欄に何も記入されていない科目)を試算表のままの金額でBS,PLに転記します。
転記する先(BS or PL)や、借方か貸方かに注意して転記していきましょう。

すると精算表は以下のようになります。
第61回18



最後に、損益計算書の欄に注目してください。
第61回19



売上が450,000円、仕入が262,000円というように、PLの項目が記載されています。
これを(今まで表示していた)見やすいPLの形式にすると以下のようになります。
第61回20


収益は合計で450,000円、費用は合計で345,100円です。よって差額の104,900円が利益となります。
第61回21

なので、精算表の「当期純[ ]」となっている科目名に「当期純 [利益]」と記入し、PLの列に104,900円を記入します。
第61回22



PLの当期純利益に金額を入れたら、BSの当期純利益の欄にも同じ金額を記載します。
ただし、PLとは貸借逆の欄に入れます。(PLの当期純利益が借方であれば、BSの当期純利益は貸方に記載する)
第61回23


これで精算表が完成しました。
すなわち、BSもPLも完成したことになります。

いかがでしたでしょうか。
一見、難しく見えるかもしれませんが、結局は個別の論点(減価償却や売上原価、収益費用の繰越し、見越し、貸倒引当金など)の仕訳ができれば、「修正記入」の欄に仕訳を記載して、BS,PLに転記するだけです。

精算表そのものの構造を理解することも大事ですが、個別論点の仕訳ができなければ正解にたどり着けません。

また、精算表は記入ミス(記載する場所の間違いや記載もれ)が多く発生します
「修正記入」に金額を入れた際は、必ず借方と貸方に同じ金額を記入したことを確かめてください。
(例 支払利息/未払利息 の修正記入)
第61回24



また、余裕があれば修正記入の借方の合計と貸方の合計が一致することも確認してください。
(この金額が一致しなければ、「修正記入」の欄で記載ミスが起こっています)
第61回25




検定試験では、当期純利益まで正解を狙いに行く必要はありません。
むしろ当期純利益を正解するということは、全問正解するのと同じことであるので、そこまでできなくても合格はできます。
個別の修正記入やBS,PLの欄に正しく転記ができていれば点数はとれます。

次回は、簿記の最終ステップ、PL,BSを使った問題について解説します。

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【第60回】決算手続(16)「費用、収益の見越し」

じっくり簿記 3級
【第60回】決算手続(16)  「費用、収益の見越し」



こんにちは。たいちろうです

前回、現預金を先に授受したものについて、翌期以降に費用、収益とすべきものを「前払費用」「前受収益」に振り替える「繰り延べ」を説明しました。

今回は現預金はまだ授受していないが、当期に「見越し」計上(「未収収益」「未払費用」を使用)しなければならないケースについて解説します。

今回も前回と同様、例題を使って解説していきます。

未収収益について

例題60-1
平成28年1月1日に現金100万円を年利6%でA社に貸し付けた。
これは平成28年12月31日に利息とともに一括返済してもらう契約である。
なお、当期の会計期間は平成27年4月1日から平成28年3月31日である。
(1) 貸し付けを行った時の仕訳(資産科目:貸付金)
(2) 利息に関する決算整理仕訳


例題60-1 解答
(1) 貸付金 1,000,000 / 現金 1,000,000
(2) 未収収益 15,000 / 受取利息 15,000



(1) については、単純な貸付の仕訳であるため、解説は省略します。
以下、BSのみ記載します。(PLは影響なし)
第60回1


(2) について、この貸付に関して年利6%で1年間貸し付けるので、100万円×6%=6万円の利息(受取利息という収益)を受け取れるはずです。
しかし、この貸付金の利息というものは「お金を貸している期間」に応じて発生しているはずのものです。
第60回2


利息は平成28年12月31日に貸付金を返済してもらう時に一括(6万円)で受け取る契約なので、当期末(平成28年3月31日)までに、利息を現預金で受け取ることはありません。

しかし、現金を受け取らないから収益は発生していないということにはなりません。
平成28年1月1日~3月31日までの3ヶ月間分の利息は発生しているはずなのです。(上の図の黄色の部分)
よって、当期に発生しているはずの3ヶ月分の利息(6万円×3ヶ月/12ヶ月=1万5千円)を計上します。

それが、(2)の解答の仕訳です。
未収収益 15,000 / 受取利息 15,000

(2)の仕訳を反映させたPL
第60回3


貸付金の利息について、当期に発生した3ヶ月分の利息(収益)が正しくPLに反映されるようになりました。

(2)の仕訳を反映させたBS
第60回4


受取利息という収益を計上しましたが、その相手科目として「未収収益」というBSの資産科目を計上します。これが収益の見越しをするための科目です。

未払費用について

例題60-2
平成27年10月1日にB社から現金200万円を年利6%で借り入れた。
これは平成28年9月30日に利息とともに一括返済する契約である。
なお、当期の会計期間は平成27年4月1日から平成28年3月31日である。

(1) 貸し付けを行った時の仕訳(負債科目:借入金)
(2) 利息に関する決算整理仕訳


例題60-2 解答
(1) 現金 2,000,000 / 借入金 2,000,000
(2) 支払利息 60,000 / 未払費用 60,000


(1)については、単純な借入の仕訳であるため、解説は省略します。
以下、BSのみ記載します。(PLは影響なし)
第60回5


(2)について、この借入に関して年利6%で1年間借りているので、200万円×6%=12万円の利息(支払利息という費用)を支払うことになります。
しかし、この借入金の利息は「お金を借りている期間」に応じて発生しているはずのものです。
第60回6


利息は平成28年9月30日に借入金を返済する時に一括(12万円)で支払う契約なので、当期末(平成28年3月31日)までに、利息を現預金で支払うことはありません。
しかし、平成27年10月1日~平成28年3月31日までの6ヶ月間分の利息は発生しているはずなのです。(上の図の黄色の部分)
よって、当期に発生しているはずの6ヶ月分の利息(12万円×6ヶ月/12ヶ月=6万円)を計上します。

それが、(2)の解答の仕訳です。
支払利息 60,000 / 未払費用 60,000
(2)の仕訳を反映させたPL
第60回7


貸付金の利息について、当期に発生した6月分の利息(費用)が正しくPLに反映されるようになりました。
(2)の仕訳を反映させたBS
第60回8


支払利息という収益を計上しましたが、その相手科目として「未払費用」というBSの負債科目を計上します。
これが費用の見越しをするための科目です。

繰り延べ、見越しの総括
お金の受け渡しのタイミングと費用、収益の計上のタイミングは必ずしも一致しません。前回説明した、「前払費用」「前受収益」や、今回説明した「未払費用」「未収収益」を使うことで、適切な期間損益(PL)が計算できるようになるのです。


「前払費用」「前受収益」「未払費用」「未収収益」について、どれを使用すればいいのか迷ってしまうこともあるかもしれませんが以下のように判断してください。

繰り延べや見越しをする対象が

・費用であれば「○○費用」(つまり「前払費用」か「未払費用」)
・収益であれば「○○収益」(つまり「前受収益」か「未収収益」)

さらに、お金の受け渡しが

・先に(当期に)行われているのであれば「前(払費用、受収益)」
・後に(翌期以降に)行われるのであれば「未(払費用、収収益)」

「費用」、「収益」という名前だけで、4つのうち2つまで絞られ、さらに先に(前に)お金のやり取りをしていれば「前○○○」ということさえ覚えれば、どの科目を使うべきか答えられるようになります。

以上、収益、費用の見越しについて解説いたしました。

・期間に応じて費用、収益が発生する取引で、現預金の受け渡しはされていない場合、決算整理仕訳として費用、収益の見越し計上を行う。
・当期に経過した期間に対応する費用、収益を計上し、その相手科目として「未払費用」(BSの資産項目)、収益は「未収収益」(BSの負債項目)を計上する。


次回以降、決算手続きの中でも最後の手続きとなる、「精算表の作成」そして「貸借対照表(BS)」「損益計算書(PL)」の作成を解説していきます。

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【第59回】決算手続(15)「費用、収益の繰り延べ」

じっくり簿記 3級
【第59回】決算手続(15)  「費用、収益の繰り延べ」




こんにちは。たいちろうです。

今回は、費用・収益を翌期以降に繰り延べる仕訳を解説します。

具体的には「前払費用」「前受収益」「未払費用」「前受収益」という科目を使用することになります。

費用、収益の繰り延べとは
費用や収益の中には「期間に応じて発生」するものがあります。
この期間が期末をまたぐ場合、決算手続きで費用や収益の繰り延べが必要になります。
以下、例題を使って解説していきます。

前払費用について

例題59-1
会社のオフィスについて、平成28年1月1日から平成28年12月31日までの1年間を契約期間とする火災保険料12万円を現金で支払った。以下の仕訳を示しなさい。なお、当期の会計期間は平成27年4月1日から平成28年3月31日である。
(1) 保険料を支払った時の仕訳(費用科目:支払保険料)
(2) 保険料に関する決算整理仕訳


例題59-1 解答
(1) 支払保険料 120,000 / 現金 120,000
(2) 前払費用 90,000 / 支払保険料 90,000


(1) については特に解説は必要ないと思います。費用の科目として「支払保険料」という科目が指定されているので、その支払保険料を借方、現金を支払っているので現金を貸方に計上すればいいだけです。

PL
第59回1

(BSは現金しか動いていないので省略)

(2)において、保険料に関する決算整理仕訳を問われています。
期中に1年間分の保険料を支払って、12万円全額を費用計上しています。
これは12万円を払うことで、1年間という「期間」で火災が起こった際に保証を受けられる効果があるものです。

この会社の会計期間は4月1日から翌年の3月31日であるのに対して、保険料の契約期間は1月1日から12月31日となっています。
会計期間と、保険料の期間の関係を図にすると以下の通りです。
第59回2


保険料は平成28年1月1日~12月31日という1年間の契約ではありますが、このうち当期に属しているのは平成28年1月1日~3月31日の3ヶ月間(図の黄色の部分)だけです。

12万円の保険料のうち、当期に保険の効果がある3ヶ月相当分だけを当期の費用としなければ適切な期間の利益(4月1日~3月31日の利益)を計算できません。

よって、12万円×3ヶ月/12ヶ月=3万円が当期の費用(支払保険料)として計上されるべきで、残りの9ヶ月分(12万円×9ヶ月/12ヶ月=9万円)は当期の費用からは除外(=翌期に繰り延べ)する必要があります

期中に支払った際に、支払保険料 120,000 / 現金 120,000 という仕訳を計上しているため、決算整理仕訳で支払保険料が3万円になるように修正しなければなりません

それが、解答の仕訳
前払費用 90,000 / 支払保険料 90,000

です。

(2) の仕訳を反映させたPL
第59回3


(2)の仕訳を反映させたBS(現預金の科目は省略)
第59回4


この「前払費用」という科目が、費用の繰り延べのために使用する勘定科目です。

なお、前払「費用」という名称ですが、これはBS科目(資産)なので注意してください。
基本的に勘定科目は、「○○費用」という名称であればPLの費用科目であると判断できますが、この繰り延べ(見越し)の科目はBS科目なので引っかからないように注意してください。

ちなみに本問は保険料に関するものであるので、問題によっては「前払費用」ではなく「前払保険料」という科目を使用する可能性もあります。
「前払○○料」や「前払○○費用」など、問題文や資料にどの科目を使うべきかヒントがあるので、問題文に従って適切な科目を使用してください。

前受収益について

例題59-2
当社が所有しているビルのうち一部の階を他社に貸している。
賃料は1ヶ月50万円であり、期中に平成27年10月1日から平成28年9月30日までの1年分の賃料(600万円)を受け取った(当座預金に入金)。
なお、当期の会計期間は平成27年4月1日から平成28年3月31日である。
(1) 賃料を受け取った時の仕訳(費用科目:受取賃借料)
(2) 賃料に関する決算整理仕訳

例題59-2 解答
(1) 当座預金 6,000,000 / 受取賃借料 6,000,000
(2) 受取賃借料 3,000,000 / 前受収益 3,000,000


(1)については、現金で賃借料を受け取っているので、単純に現金を600万円増加させ(借方)、収益として受取賃借料を600万円計上(貸方)するだけです。

PL
第59回5


(2)について、会計期間は4月~翌3月であるのに対して、賃料として受け取った600万円は10月~翌年9月までの期間にかかわるものです。
第59回6

つまり当期に発生している賃借料は平成27年10月~平成28年3月の6ヶ月(黄色の部分)だけであり、その部分のみを収益として計上すべきです。

よって、600万円×6ヶ月/12ヶ月=300万円が当期の受取賃借料であるべきです。
受取賃借料は(1)にて期中に600万円計上されているので、これを300万円に修正するため差額の300万円を当期の収益から除外(繰り延べ)します。

受取賃借料 3,000,000 / 前受収益 3,000,000

(2)の仕訳を反映させたPL
第59回7


(2)の仕訳を反映させたBS(現預金は省略)
第59回8


前払費用は「前払『費用』」という名前なのに、BSの資産項目でした。
この前受収益も「前受『収益』」という名前ですが、BSの負債項目となります。


今回は以上となります。

・「期間」に応じて費用や収益が発生するようなものについて、その期間が期末日をまたぐ場合は、当期に属する部分だけを当期の費用、収益として計上する。
・当期に属しない部分は、費用は「前払費用」というBSの資産項目、収益は「前受収益」というBSの負債項目に振り替える。

今回の費用、収益の「繰り延べ」は、当期に現金預金を先に授受しているものです。
次回は、現金預金を後で授受する、費用、収益の「見越し」(「未収収益」、「未払費用」)について解説します。



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