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【第43回】帳簿(13)「伝票(2)」

じっくり簿記 3級
【第43回】 帳簿(13)「伝票(2)」




こんにちは、たいちろうです。

前回は、伝票を使用する方法として、「3伝票制」と「5伝票制」があること、そして3伝票制で使用する3種類の伝票(入金伝票、出金伝票、振替伝)のうち、入金伝票と出金伝票について説明しました。

今回はまず、3伝票制の「振替伝票」について説明いたします。

振替伝票
前回説明した、入金伝票と出金伝票は、

・入金伝票⇒お金が入ってくる取引を記録する伝票
・出金伝票⇒お金が出ていく取引を記録する伝票

という使い方をしました。

今回説明する「振替伝票」は、お金が入ってくる取引、お金が出ていく取引以外の取引を記録する伝票です。

以下、振替伝票のフォーマットです。
第43回1


このフォーマットを見ればわかると思いますが、この振替伝票は、今までやってきた「仕訳」をそのまま記入するだけです。

経理において、「伝票」とか「仕訳の伝票」というと、たいていこの「振替伝票」のことを指します。


例題43-1
以下の取引について、伝票を起票しなさい
平成26年4月10日に商品1,000円分を掛けで売り上げた。



例題43-1 解答

第43回2

商品1,000円分を、掛けで売り上げた、とのことなので、仕訳は

売掛金 1,000 / 売上 1,000 

となります。

そして、仕訳を見て、現金預金が借方にも貸方にもないことがわかるため、入金伝票や出金伝票では対応できない、すなわち振替伝票を使うことがわかります。

伝票の記入については解説は不要だと思います。(振替伝票は、仕訳をそのまま伝票に記入するだけであるため)


練習問題43-1
以下の取引について、伝票を起票しなさい
平成26年5月1日に商品3,000円を仕入れ、対価は掛けとした。


練習問題43-1 解答

第43回3


仕訳をそのまま記入するだけなので、解説は省略します。


現金の取引がある場合の振替伝票
振替伝票は入金と出金以外の取引を記録する伝票です。

先の例題や練習問題の仕訳

売掛金 1,000 / 売上 1,000

仕入 3,000 / 買掛金 3,000


のように、現金預金が出てこない取引を振替伝票に記入することになります。

では、代金の受け渡しについて、一部を現金で、残りを掛けにした場合はどのようにすればよいでしょうか。

以下の例題を通して解説します。



例題43-2
以下の取引について、下記の①、②の2通りの方法で伝票を起票しなさい。
平成26年4月10日に商品1,000円分を売り上げた。
代金は400円を現金で、600円を掛けとした。

①取引を分ける方法 ②全額を掛けにした上で、すぐに現金で決済されたとみなす方法


例題43-2 解答
①取引を分ける方法
第43回4

第43回5



②全額を掛けにした上で、すぐに現金で決済されたとみなす方法


第43回6

第43回7



まず①取引を分ける方法 について説明します。
売上1,000円の代金について、400円を現金で、600円を掛けとした、とあるので、仕訳は

現金 400 / 売上 1,000
売掛金 600 /


となります。

この仕訳を、伝票に記入するために、2つに分解します。
すなわち

現金 400 / 売上 1,000
売掛金 600 /


という仕訳を

現金 400 / 売上 400
売掛金 600 /売上 600


とします。(売上1,000を、400と600に分けました)

こうすれば、

現金 400 / 売上 400

という仕訳について、入金伝票(下記)が起票できますし、
第43回8


売掛金 600 /売上 600

という仕訳についても、振替伝票(下記)が起票できるようになります。
第43回9


②全額を掛けにした上で、すぐに現金で決済されたとみなす方法については、本来の仕訳である、

現金 400 / 売上 1,000
売掛金 600 /


について、いったん、全額(1,000円)を掛けにしたと考えます。

売掛金 1,000 / 売上 1,000
第43回10


その上で、その内400円を現金で回収した、という仕訳を切ります。

現金 400 / 売掛金 400
第43回11


こうすれば、結果として

現金 400 / 売上 1,000
売掛金 600 /


の仕訳を切ったと同じことになります。


今回は以上となります。

要点は以下の通りです。

・「振替伝票」は、入金、出金以外の取引を記入するもの
・振替伝票には、仕訳をそのまま記入する
・仕訳が入出金と、そうでないものが混ざっていたら、
①仕訳を分割する
②いったん全額、掛けにしたとみなして仕訳を切り、その上で入金があったとみなす。



次回は5伝票制を説明いたします。
次回でようやく、帳簿が終わることとなります。お疲れ様でした。
その次からは、簿記の最重要論点である「決算手続き」となります。


なお、来週土曜日(1月3日)は年始のため、更新をお休みさせていただきます。
次回の更新は1月10日となりますのでご了承ください。



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【第42回】帳簿(12)「伝票(1)」

じっくり簿記 3級
【第42回】 帳簿(12)「伝票(1)」




こんにちは、たいちろうです。

ようやく、帳簿の最終章、「伝票」まで到達しました。

帳簿は、確定申告(青色申告)をする場合に必要になるものです。
簿記の学習においては退屈だと感じるかもしれませんが、実務だと重要だったりします。
しかし、実際に必要な場面になったとしても、書き方の例を見れば簡単にできるので、簿記検定の試験が終わったら忘れられてしまう論点でもあります。

さて、今回は「伝票」について解説します。

伝票とは
第31回帳簿(1)「仕訳帳」にて、仕訳を記入する帳簿である「仕訳帳」について解説しました。

売上、仕入、その他様々な取引が起こった際に、この仕訳帳にすべての仕訳を記帳していくことになります。
すなわち、すべての仕訳が1冊の仕訳帳に記入されていきます。

第42回1


取引が少ない内はそれでも問題ないでしょう。

しかし、だんだん取引が多くなって、記帳する担当者が2人以上になっていくと、一つの帳簿(仕訳帳)を複数人でシェアするのは難しくなっていきます。
さらに、複数の店舗を持つようになると、物理的に仕訳帳を使うことは不可能になります。

第42回2


かといって、取引は日々発生していくわけで、仕訳を記録するものは絶対に必要です。
仕訳を記帳しなければBSもPLも作れません。

そこで、仕訳帳ではなく、1枚の紙(「伝票」)に取引を記帳する、という方法をとることになります。

1冊の仕訳帳を複数人で記帳していくのは(1人が書き込んでる間は他の人が書き込めないため)効率が悪いですが、1枚1枚が切り離されている伝票であれば、複数の担当者は同時に取引を記帳することができます。

第42回3


そして、月次の締めの際にすべての伝票を集めれば、それが仕訳帳の代わりになるということです。

余談ですが、IT技術の発達した現代では、PCとネットワーク環境が整っていれば前述の問題はすべて解決されます。
すなわち、この「伝票」は現代において無用と言っていいものであり、正直、簿記検定の出題範囲から削除すべきではないかと思います。が、なかなか削除されない上、結構な頻度で出題されるので、ちゃんと学習しておいたほうがよいと思います。



伝票を使用する方法として、「3伝票制」「5伝票制」があります。

今回は「3伝票制」を解説していきます。

3伝票制
3伝票制とは、その名の通り、3種類の伝票を使って取引を記録していく方法です。


3種類の伝票とは

・入金伝票
・出金伝票
・振替伝票


の3種類を指します。


なお、帳簿に記入することや仕訳を切ることを「記帳」と言っていましたが、伝票に記入することを「起票」といいます。


入金伝票
入金伝票は、お金が入ってくる取引を記録する伝票です。

以下、入金伝票のフォーマットです。
第42回4


お金が入ってくる取引とは、すなわち、仕訳で「借方が現金」となる取引となります。

入金伝票には、貸方の科目と金額を記入します。

ちなみに、なぜ貸方だけを記入するのか(なぜ借方を記入しないのか)というと、入金伝票を使用する、という時点で、仕訳の借方は「現金」とわかっているためです。


例題42-1
以下の取引について、入金伝票を起票しなさい
平成26年4月10日に売掛金 1,000円を現金で回収した。



例題42-1 解答

第42回5


まず、問題の取引を仕訳にしてみます。
売掛金を回収する取引、すなわち、売掛金が減少して現金が増加する取引なので、

現金 1,000 / 売掛金 1,000

となります。

この仕訳の貸方の科目(売掛金)と金額(1,000)を、入金伝票に記入すれば解答になります。


練習問題42-1
以下の取引について、入金伝票を起票しなさい
平成26年5月1日に商品を3,000円で売り上げ、対価は現金で受け取った。


練習問題42-1 解答

第42回6


問題の取引を仕訳にすると

現金 3,000 / 売上 3,000

となり、この仕訳の貸方の科目(売上)と金額(3,000)を、入金伝票に記入すれば解答になります。

出金伝票
入金伝票は、お金が出ていく取引を記録する伝票です。

以下、出金伝票のフォーマットです。
第42回7


お金が出ていく取引とは、すなわち、仕訳で「貸方が現金」となる取引となります。

出金伝票には、借方の科目と金額を記入します。(入金伝票と逆です)

なぜ借方だけを記入するのか(なぜ貸方を記入しないのか)の理由は、入金伝票と逆の理由になります。すなわち出金伝票を使用するという時点で、仕訳の貸方は「現金」とわかっているためです。



例題42-2
以下の取引について、出金伝票を起票しなさい
平成26年4月10日に買掛金 1,000円を現金で支払った。


例題42-2 解答

第42回8


問題の仕訳は、買掛金を現金で支払ったということなので、買掛金が減少し、同時に現金も減少する仕訳となります。

買掛金 1,000 / 現金 1,000

そして、仕訳の借方の科目(買掛金)と金額(1,000)を記帳すれば完了です。



練習問題42-2
以下の取引について、入金伝票を起票しなさい
平成26年5月1日に商品5,000円の仕入を行い、対価は現金で受け取った。


練習問題42-2 解答

第42回9




今回は以上となります。
3伝票制は、今回説明した「入金伝票」と「出金伝票」の他に「振替伝票」がありますが、それは次回に解説いたします。

理解のため、伝票の目的や使い方を説明しましたが、簿記検定で知っておくべきことは、

・入金伝票は、現金が入ってくる仕訳の貸方(の科目と金額)を記入する。
・出金伝票は、現金が出ていく仕訳の借方(の科目と金額)を記入する。

のみです。仕訳で、現金の反対側の科目を記入すればよいということだけ押さえておけば問題ありません。

次回は、3伝票制の残りの伝票である「振替伝票」と、「5伝票制」について解説いたします。



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【第41回】帳簿(11)「支払手形記入帳」「受取手形記入帳」

じっくり簿記 3級
【第41回】 帳簿(11)「支払手形記入帳」「受取手形記入帳」




こんにちは、たいちろうです。

そろそろ帳簿も終盤に入ってきました。
帳簿に飽きてきているとは思いますが、がんばって一度は頭の中に入れてみてください。


今回は、支払手形を管理する「支払手形記入帳」、受取手形を管理する「受取手形記入帳」を説明いたします。

他の帳簿より書き込む欄が多いですが、どこに何を書けばいいのかはっきりしているため、問題文に書いてあることをそのまま書き込むだけになります。

支払手形記入帳のフォーマット
第41回1


受取手形記入帳のフォーマット
第41回2


実際に、情報が記入されている状態の支払手形記入帳、受取手形記入帳を見てみましょう。
第41回3

第41回4



上記のように、支払手形、受取手形についての情報を記入しているだけです。
見ればわかると思うので、詳細の説明は割愛します。
以下、補足です。

・「手形種類」には、約束手形であれば「約手」、為替手形であれば「為手」と記入
・「てん末」は、その手形が支払 or  入金 されたら記入する


簿記検定の問題としては、支払手形記入帳・受取手形記入帳を記帳する問題ではなく、支払手形記入帳・受取手形記入帳に書かれている情報から、仕訳を推測するという問題が出されます。


例題41-1  下記の支払手形記入帳について、4月1日、6月30日、5月1日の仕訳を示しなさい。勘定科目は、「勘定科目リスト」にあるものを使用すること
勘定科目リスト:買掛金、売掛金、当座預金、支払手形、受取手形、仕入、売上

第41回5



例題41-1解答


4月1日 仕入 10,000 / 支払手形 10,000
6月30日 支払手形 10,000 / 当座預金 10,000
5月1日 買掛金 30,000 / 支払手形 30,000



まず4月1日の取引ですが、摘要に「仕入」と記載されています。

第41回6

よってこれは、仕入の取引により、支払手形(約束手形) 10,000円を振り出した(支払手形が増加した)ことを表しています。

よって 4月1日は

 仕入 10,000 / 支払手形 10,000

となります。


この4月1日に振り出した手形について、「てん末」の欄に「6月30日 支払済」と書かれています。
第41回7


つまり、この支払手形は6月30日にお金を支払っているのです。

よって、6月30日の仕訳は、

支払手形 10,000 / 当座預金 10,000

となります。
(お金の支払方法について、勘定リストに、当座預金しか現金預金の科目がないため、貸方は当座預金となります)


5月1日の取引も、4月1日と同様に、支払手形が30,000円増加したということをあらわしています。

ただし、「摘要」に「買掛金」、「手形種類」に「為手」とあります。

第41回8

これは、C社に対する買掛金が30,000円あったが、そればB社に支払ってほしい、という内容の依頼の為替手形を引き受けた、ということを意味します。

(以下、為替手形の使い方の確認のため、「第13回 商品売買(5) 為替手形」の内容を再掲します)


例えば、自社がA社に対して、10万円の売掛金を持っており、一方でB社に対して10万円の買掛金を負っているとします。この場合、A社から10万円を回収し、B社に10万円を支払うというのが、通常の決済フローです。
第41回9

しかし、この流れを省略して、A社がB社に対して直接10万円を支払っても同じ結果になります。そこに着目し、A社に対して、お金をB社に支払うように依頼するもの、それが為替手形となります。
第41回10


本問は、第13回の例の図でいうところの「A社」にあたるケースです。

ただ、支払手形記入帳の問題の場合、このように為替手形の仕組みから考える必要はありません。

なぜなら、この帳簿は「金額」欄に書かれている額の支払手形が増加した、ということを表しているものなのです。
支払手形の増加、すなわち、仕訳の貸方に「支払手形 30,000」 を計上することは決まっているのです。
第41回11


××× 30,000 / 支払手形 30,000

また、「摘要」に「買掛金」とあるので、貸方の「支払手形 30,000」の反対側(借方)に「買掛金」を入れて、

買掛金 30,000 / 支払手形 30,000

が正解となります。
もちろん、為替手形の仕組みから、仕訳を考えても問題ありませんが(第13回の練習問題13-1のケース)、検定試験では考えている時間があまりなく、時間が節約できる方を採用したほうがよいと思います。




練習問題41-1  下記の支払手形記入帳について、4月5日、7月4日、5月5日の仕訳を示しなさい。勘定科目は、「勘定科目リスト」にあるものを使用すること
勘定科目リスト:買掛金、売掛金、当座預金、支払手形、受取手形、仕入、売上

第41回12




練習問題41-1 解答

4月5日 受取手形 20,000 / 売上 20,000
7月4日 当座預金 20,000 / 受取手形 20,000
5月5日 受取手形 80,000 / 売掛金 80,000


基本的には支払手形記入帳と同じです。

「金額」の欄に記入されている金額だけ、受取手形が増加しています。
4月5日の摘要は「売上」のため、売上が上がり、対価として受取手形を受け取った、すなわち

受取手形 20,000 / 売上 20,000

となります。

この受取手形の行は、「てん末」にて「7月4日入金済」と記載されているので、7月4日に入金により現預金が増加し、受取手形が減少していると考えられます。
よって

当座預金 20,000 / 受取手形 20,000

となります。

そして5月5日は、金額欄に80,000円と記載されているため、受取手形が80,000円増加している、つまり、

受取手形 80,000 / ××× 80,000

となり、摘要に「売掛金」とあるので、受取手形の相手科目として売掛金を計上し、

受取手形 80,000 / 売掛金 80,000

となります。
(この取引の性質を知りたい場合は、第13回の練習問題13-2を参考にしてください)


以上、支払手形記入帳と受取手形記入帳でした。

以下、今回の要点です。

・「金額」欄に書かれている額の 支払手形or 受取手形が増加したことを表す
・「てん末」に、「支払済」or「入金済」とあるものは、すでに支払、入金がされている
・為替手形は、
支払手形の場合:「支払手形を貸方に計上」→「摘要の科目を借方に計上」
受取手形の場合:「受取手形を借方に計上」→「摘要の科目を貸方に計上」
で正解の仕訳となる



次回からは、「伝票」について学習します。

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