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【第21回】その他仕訳(1)「資本金」「引出金」

じっくり簿記 3級
【第21回】その他仕訳(1)「資本金」「引出金」





こんにちは。たいちろうです。

前回まで、現金預金や商品売買、固定資産など、簿記の根幹とも言える論点を説明してきました。

これらは覚える分量も多いですが、簿記検定でほぼ必ず出題される重要論点であり、これらを理解できていないと合格は難しいと言えます。

一方、今回から説明する細々とした論点(本講座では「その他仕訳」と呼ぶことにします)は、一つ一つの仕訳を覚えるための労力はそれほど必要ないですが、すべてが必ず出題されるということもありません。

しかし、その他仕訳は検定試験の中で必ずどこかの点数には結びつきます。
これらの仕訳から、少しづつ点数をかき集めて、安定して合格点をとれるようにがんばりましょう。


資本金
個人商店や、会社などの事業を始めるためには資金が必要です。
自分の貯金を使ったり、家族や、友人などから出資してもらったり等の方法で資金を調達しなくてはなりません。

このように自分のお金を商売の元手にする、もしくは他人からお金を出してもらう(=出資してもらう)場合において、その商売の元手となるお金のことを「資本金」と呼びます。
(資本金が自分のお金の場合、「元入れ金」と呼ぶこともあります)

「出資」という言葉は、その文字通り、お金(資本)を出してもらうことです。
すなわち、出資してもらったお金は返す必要がありません。
この「返す必要がない」という点で借入金と大きく異なります

資本金と借入金の違いについては、第二回「BS ~会社の財産がわかる書類~」にて解説した通りです。
↓以下、参考として第二回の内容の一部を再掲します。完全に理解する必要はないので、飛ばしてしまっても問題ありません。

【参考 第二回の内容より引用】
会社を作って商売をしたい、だけど手持ちのお金が無い。
だから他の誰かからお金を出してもらう、それが出資してもらうということです。

出資は借入と違い、原則として後でお金を返すという必要がありません。
もし会社が倒産したら、出資したお金が無駄になるリスクがあります


お金を出す側は、出資ではなく貸付(会社から見たら借入金などの負債)にした方が、お金が返済されることが約束されているし、利息も受け取れるので、リスクが少なくて良いのではと思われるかもしれません。


しかし、出資は貸付と違い、配当を受け取ることができるというメリットがあります。
出資者がお金を出資し、会社はそのお金を元手に商売をし、利益を獲得します。

そしてその利益は出資者に分配されるのです。これは会社が存続する限り半永久的に行われます。
受け取った配当金の累計が出資金より大きくなれば、この出資は成功したことになります。


会社にとって、借入金は返済しなければならないものですが、返し終わればそれで終了です。
利息もそれ以上払う必要はありません。

一方、資本金は返済の必要が無く、利息も発生しない代わりに、半永久的に配当をしなければなりません。
もちろん、利益が出ていなければ配当ゼロも可能ですが、経営者はそのような経営成績となった責任を出資者から追及されるでしょう。

資金調達の方法としての負債と資本(BSの右側)はこのような違いがあるのです。




さて、それでは実際に資本金の仕訳を解説いたします。

資本金はBSの貸方にある純資産の科目です。
第21回1


よって、資本金が増加すれば貸方、減少すれば借方となります。

仕訳例
資本金の増加
(借方)・・・ /(貸方)資本金 ×××

資本金の減少
(借方) 資本金 ××× /(貸方) ・・・



例題21-1 会社員のAさんは自営業を始めた。その際、貯金500万円を自営業用の当座預金口座に元入れ(入金)した。


例題21-1 解答 (借方)当座預金 500 /(貸方) 資本金 500



特に難しい仕訳ではありませんが、恐らく、事業や会社を始めるにあたり、一番はじめに切られる仕訳だと思われます。

仕訳を切った後のBS
第21回2


BSを見ての通り、この仕訳を切ることで、会社(もしくは個人の事業)に現金、預金が入ります。


例題21-2 自営業のAさんは自分の貯金500万円を資本金として事業を始めたが、そのうち100万円を事業とは関係のない私用のために当座預金から引き出した。


例題21-2 解答 (借方)資本金 100 /(貸方) 当座預金 100



通常、現金や預金の減少には何かしら事業との関連があるはずです。
しかしこの問題のように、事業とは関係なく、経営者の私用によってお金が引き出された場合は、資本金を減少させることになります。

仕訳を切った後のBS(例題21-1の続きと仮定)
第21回5


仕訳の通り、当座預金の減少とともに、資本金も減少しています。

「引出金」を使用する場合
上述のように、経営者が事業とは関係ないことに事業の資金を引出す場合、資本金のマイナスではなく「引出金」という科目を使用することもあります。

試験問題で使用できる科目の中に資本金がなく、かわりに引出金がある場合などです。問題分の指示をよく読み、ひっかけで点数を落とさないよう注意しましょう。


例題21-2の解答
 (借方)資本金 100 /(貸方) 当座預金 100

の場合、

(借方)引出金 100 /(貸方) 当座預金 100

となります。


今回の練習問題として、第二回の例題を再掲いたします。(内容を少々改訂しています)
ここまで学習してきた皆様であれば解けると思います。


練習問題21-1(例題2-1 改) 会社員のAさんは起業して、飲食店を開業した。

開業にあたり、自分の貯金1,000万円の他に、銀行からの3,000万円の借り入れを元手にしている。
Aさんは2,000万円で店の建物を購入し、1,000万円で必要な備品をそろえた。
残りの1,000万円は現金(預金)のままである。

以下の処理を行いなさい。((1)~(4)は「当座預金」を使用すること)

(1)貯金 1,000万円を出資金とした際の仕訳
(2)銀行から3,000万円を借り入れた際の仕訳
(3)2,000万円で建物を購入した際の仕訳
(4)1,000万円で備品を購入した際の仕訳
(5)(1)~(4)すべての仕訳を反映させたBSの作成


練習問題21-1 解答
(1) (借方)当座預金 1,000 /(貸方) 資本金 1,000
(2) (借方)当座預金 3,000 /(貸方) 借入金 3,000
(3) (借方)建物 2,000 /(貸方) 当座預金 2,000
(4) (借方)備品 1,000 /(貸方) 当座預金 1,000
(5)
第21回4



いかがでしょうか。ここまで学習してきた皆様であれば、第二回を初めて読んだ時よりも、はるかにBSについて理解が深まっていて、すんなりとイメージできたかと思います。

今回の講座は以上です。

今回の要点は以下の通りです。

・資本金は、BSの純資産の部の科目
・増加したら借方、減少したら貸方


資本金はシンプルな仕訳であるため、試験に出題された場合は確実に得点しておきたい論点です。

次回は借入金、貸付金およびその利息について解説したいと思います。

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【第20回】固定資産(4)「固定資産の売却(間接法)」

じっくり簿記 3級
【第20回】固定資産(4)「固定資産の売却(間接法)」




こんにちは。たいちろうです。

前回に引き続き、固定資産の売却を解説いたします。
今回は減価償却を間接法で行っていた場合の固定資産の売却の仕訳を説明いたします。
前回同様、減価償却を正しく理解している必要があります。


(2)-b間接法で減価償却している場合
間接法にて計上している場合の売却の仕訳の前に、いったん、間接法の減価償却の復習をします。


例題20-1 10月1日に1,000万円で購入した建物(残存価額:取得原価の10%、耐用年数10年)について、今年度分の減価償却を行う。当社の会計期間は4月1日から翌年の3月31日までである。(間接法にて処理すること)


例題20-1 解答 (借方)減価償却費 45 / (貸方) 減価償却累計額 45 (単位:万円)



直接法固定資産を直接マイナスしていましたが、間接法減価償却累計額という科目を貸方に使用します。


また、本問では期中に購入している、すなわち購入日から期末までの期間しか使用していないため、購入日から期末までの月割りで減価償却費を計算します。


今年度(4月1日~翌3月31日)の期間において、この固定資産は10月1日から翌3月31日までの6か月使用しているので、1年分の減価償却費×6ヶ月/12ヶ月という月割計算をします。

残存価額が10%であるため、償却できる部分が90%として、

1,000万円×90%÷10年=90万円(1年間の減価償却費)

90万円×6ヶ月/12ヶ月=45万円(減価償却費を月割)

これが減価償却費として計上されます。

以下、BS、PLです。

本問の仕訳を切る前のBS
第20回1

建物を1,000万円で取得した、となっているので、BSに建物が計上されています。

本問の仕訳を切った後のBS
第20回2



直接法とは違い、建物そのものは変わらず、「減価償却累計額」という科目を計上します。
これは資産のマイナス項目であり、金額の前にマイナス(△)を付して、△45万円と記載します。
(1,000万円-45万円=955万円が直接法によった場合の金額と一致します)


本問の仕訳を切った後のPL
第20回3


減価償却費が45万円、PLに計上されます。減価償却費については直接法も間接法も変わりません。


さて、ここから間接法による減価償却をしている場合での、固定資産の売却の説明をいたします。
固定資産の売却が起こったときは、売却する固定資産の「取得原価」とそれに係る「減価償却累計額」を減少させます。



例題20-2 1,000万円で購入した建物(減価償却累計額 45万円)を980万円で売却した。代金は小切手で受け取った。 (減価償却は間接法にて処理している)


例題20-2 解答 (借方)現金 980  /(貸方)建物       1,000  (単位:万円)    
  減価償却累計額 45 / 固定資産売却益   25



間接法の場合の固定資産の売却の仕訳は使用する科目が多いので、金額がわかる科目から埋めていくと正解の仕訳にたどり着けます。


まず、対価の現金980万円を借方に入れるというのは、すぐにわかると思います。

次に、減少させる「建物」と「減価償却累計額」ですが、売却の直前のBSを参考にするとわかりやすいと思います。
取得原価1,000万円で、減価償却累計額が45万円の場合のBS(間接法)は以下の通りです。(例題20-1のBSと同じもの)
      
仕訳を切る前のBS
第20回4


このように、建物が借方に1,000万円あり、また、それに係る減価償却累計額が貸方(借方のマイナス)に45万円あるということがわかれば、これらを減少させるためには仕訳で逆側に計上してあげればよいということになります。
すなわち、建物を貸方に、減価償却累計額を借方に計上するということです。

参考までに、ここまでに記入した仕訳は以下のようになります。

       (借方)現金        980  /(貸方)建物       1,000  (単位:万円)    
減価償却累計額 45 /


対価の現金980万円を借方に記入。そして、BSに載っている建物1,000万円と減価償却累計額45万円が消えるように、建物を貸方に、減価償却累計額を借方に記入しています。(作成途中の不完全な仕訳であり、貸借が一致していません)


最後に、借方の合計980万円+45万円=1,025万円と貸方の金額1,000万円の差額25万円が、この固定資産の売却損益(損失または収益)となります。

       (借方)現金        980 /(貸方)建物       1,000  (単位:万円)    
減価償却累計額 45 /固定資産売却益 25


この場合は貸方に25万円を記入することになるため、固定資産売却25万円となります。(PLの貸方=収益であるため、売却益となります。もし借方に記入する場合は費用すなわち売却損となります)


あるいは、直接法のように、売却金額-簿価で売却の損益を計算することもできます。本問の場合、この建物の簿価は1,000万円(取得価額)-45万円(減価償却累計額)=955万円であり、売却代金の980万円-955万円(簿価)=25万円が売却益であると考えることもできます。

本問の仕訳を切る前のBS
第20回5


本問の仕訳を切った後のBS
第20回6

建物1,000万円と減価償却累計額45万円が消えて、現金980万円が増加しています。

 
本問の仕訳を切った後のPL(例題20-1の続きと仮定)
第20回7





練習問題20-1 ×1年4月1日に3,000万円で購入した建物(耐用年数20年 残存価額10%)を×4年3月31日に2,500万円で売却した。代金は小切手で受け取った。売却時の仕訳はどのようになるか。(減価償却は間接法にて処理している)



練習問題20-1 解答 (借方)現金         2,500/(貸方)建物       3,000      
減価償却累計額 405/
固定資産売却損 95/ (単位:万円)



間接法の場合における固定資産の売却の仕訳を切るためには「売却代金」の他に、「固定資産の取得減価」と「固定資産の減価償却累計額」の情報が必要です。

しかし、本問の場合、減価償却累計額が記載されていないため、自分で計算する必要があります


購入から売却までの間(×1年4月1日~×4年3月31日)3年間が経過しているため、毎年の減価償却費の3年分が、売却時点(×4年3月31日)の減価償却累計額になります。


本問の建物は残存価額(償却しない部分)が10%であるので、償却する部分は90%です。

3,000万円×90%÷20年=135万円(1年分の減価償却費)

ちなみにこの減価償却の仕訳を表すと以下のようになります。

(借方)減価償却費 135/ (貸方) 減価償却累計額 135


売却時(×4年3月31日)は、取得してから3年間が経過しているので、減価償却費は135万円×3年=405万円が計上され、(間接法なので)同額が減価償却累計額として計上されています。


×1年4月1日 建物取得時のBS
第20回8



×4年3月31日 減価償却3年分控除後のBS
第20回9


この建物3,000万円と減価償却累計額405万円を、売却時に減少させます。
そして現金が2,500万円増加しているということを加味すると仕訳は以下のようになります。

(借方)   現金  2,500 /(貸方)建物       3,000      
減価償却累計額 405 /       (単位:万円)



ここで借方の合計(2,500万円+405万円=2905万円)と、貸方の3,000万円の差額95万円が売却損益になります。
本問の場合、借方に95万円を記入することで金額が一致します。よって、固定資産売却となります。

その結果、最終的に以下の仕訳になります。

(借方) 現金          2,500/(貸方)建物       3,000      
減価償却累計額 405/
固定資産売却損 95/ (単位:万円)


本問のBSとPLは以下のようになります。

売却の仕訳を切った後のBS
第20回10


建物3,000万円と減価償却累計額405万円が消えて、現金2,500万円が増加しています。

仕訳を切った後のPL
第20回11



減価償却費135万円は売却年度(×3年4月1日~×4年3月31日)の減価償却費です。

減価償却累計額405万円は、

×1年4月1日~×2年3月31日
×2年4月1日~×3年3月31日
×3年4月1日~×4年3月31日

の各年で、

(借方)減価償却費 135/ (貸方) 減価償却累計額 135 

という仕訳が切られた結果です。
この×3年4月1日~×4年3月31日の減価償却費がPLに載ってきます。
(PLは1年単位で作成するため、今年度のPLには1年分しか計上されません)

固定資産売却(間接法)の処理は以上で終わりです。
以下、今回の要旨です。

・「売却する固定資産の取得原価」とそれに係る「減価償却累計額」を減少させる。
・仕訳としては、「売却代金」の増加(借方)、「固定資産の減少」(貸方)「減価償却累計額の減少」(借方)を記入し、借方と貸方の差額を固定資産売却損益として計上する。
・売却損益について、借方に数字が入るときは売却損、貸方に数字が入るときは売却益になる。



簿記検定の試験でも、固定資産は必ずと言っていいほど出題される重要論点です。
特に間接法の減価償却は頻出ですので、必ず解けるようにしておくとよいと思います。

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【第19回】固定資産(3)「固定資産の売却(直接法)」

じっくり簿記 3級
【第19回】固定資産(3)「固定資産の売却(直接法)」




こんにちは。たいちろうです。

今回は固定資産の売却を解説いたします。

固定資産の売却は、減価償却を正しく計算できないと、仕訳を切ることができません。
もし、減価償却で不明な点があれば、第17回および第18回を復習することをお勧めします。

固定資産の売却 
保有している建物や設備などの固定資産を売却することがあります。
売却のタイミングによって、処理が異なります。


具体的には、

<1>固定資産を購入してすぐに売却した場合
<2>時間が経過してから売却した場合

に分かれ、さらに、<2>時間が経過してから売却した場合は、減価償却の方法が直接法か間接法かで処理が異なります。

<1>固定資産を購入してすぐに売却した場合
通常は建物や車両などの固定資産を購入したらしばらくは使用すると思われます。
よって、購入してすぐに売るというのはあまり考えられないのですが、売却の仕訳を覚えるための前提として説明します。

固定資産は有価証券と同様に、簿価よりも高く売れれば売却益が発生し、安く売れれば売却損が発生します。


売却益は「固定資産売却益」、売却損は「固定資産売却損」で計上します。
いずれもPL科目で、固定資産売却益は収益、固定資産売却損は費用です。


固定資産売却益の発生の仕訳

(借方)・・・・ /(貸方)固定資産売却益 ××

固定資産売却益は収益の科目なので、発生したら貸方に記入します。

固定資産売却損の発生の仕訳

(借方)固定資産売却損 ××/(貸方) ・・・・ 

固定資産売却損は費用の科目なので、発生したら借方に記入します。



例題19-1 1,200万円で購入した建物を、1,400万円で売却した。代金は小切手で受け取った。購入してすぐに売却したため、減価償却はしていないものとする。


例題19-1  解答 (借方)当座預金 1,400 / (貸方)    建物  1,200         (単位:万円)
                  / 固定資産売却益 200


売却により建物が無くなっているので、建物を貸方に記入します。
また1,200万円で購入した建物が1,400万円で売れたため、1400万円-1200万円=200万円が売却益となり、貸方に固定資産売却益を計上します。

この仕訳は有価証券を売却した場合とほぼ同じパターンですので、不明な点があれば第15回をご参考ください。


以下、本問のBS、PLです。

仕訳を切る前のBS



建物を売却する前のBSには建物1,200万円があります。(問題文の指示より、減価償却はされていません)

仕訳を切った後のBS



建物1,200万円が消え、それと引換に当座預金が1,400万円増加しています。

仕訳を切った後のPL


PLについては、建物の売却代金1,400万円-1,200万円(取得減価)=200万円が売却益として計上されます。


<2>減価償却をした後で固定資産を売却した場合
固定資産を購入して時間が経過し、減価償却が行われてから売却をした場合、計算が少し複雑になります。
また、減価償却の方法が、a.直接法か b.間接法かで、売却時の仕訳が異なります。

<2>-a 直接法で減価償却している場合
直接法にて計上している場合の売却の仕訳の前に、いったん、直接法の減価償却の復習をします。


例題19-2 10月1日に1,000万円で購入した建物(残存価額:取得原価の10%、耐用年数10年)について、今年度分の減価償却を行う。当社の会計期間は4月1日から翌年の3月31日までである。(直接法にて処理すること)


例題19-2 解答 (借方)減価償却費 45 / (貸方) 建物 45 (単位:万円)


前回解説した通り、直接法は固定資産を直接マイナスします。よって、貸方は建物となります。

本問は期中に建物を取得しています。(前回の例題や練習問題は期首に取得していました)
期中に購入している場合は、購入日から期末までの月割りで減価償却費を計算します。

減価償却は、使用した期間分、費用を計上するものです。
購入した日から期末までの期間しか使用していない(1年間丸々使用していない)のであれば、減価償却費もその期間分だけを月割りで計上することになります。

本問の場合、会計期間である4月1日~翌3月31日の12ヶ月間のうち、10月1日から翌3月31日の6か月間使用しているので、

1年分の減価償却費×6ヶ月/12ヶ月

という月割計算をします。

残存価額が10%であるため、償却する部分が90%として、

1,000万円×90%÷10年=90万円(1年間の減価償却費)

減価償却費を月割
90万円×6ヶ月/12ヶ月=45万円

この45万円が減価償却費として計上されます。

以下、BS、PLです。

本問の仕訳を切る前のBS



建物を1,000万円で取得した、となっているので、BSに建物が計上されています。

本問の仕訳を切った後のBS



減価償却により建物が45万円減少しています。

本問の仕訳を切った後のPL


減価償却費が45万円、PLに計上されます。


それでは、直接法の減価償却の復習をしたところで、今回のトピックである固定資産の売却の説明にかかろうと思います。

固定資産の売却が起こったときは、売却する固定資産の「簿価」を減少させます。

固定資産の「簿価」とは、固定資産の取得価額から減価償却費の累計額を引いた残額となります。



上記は、取得価額5,000万円の固定資産を、毎年250万円ずつ減価償却している場合の図です。

1年後の簿価は、それまでに250万円の減価償却がされているので、5,000万円-250万円=4,750万円となります。
3年後の簿価は、それまでに750万円の減価償却がされているので、5,000万円-750万円=4,250万円となります。

つまり簿価とは、償却されずに残っている金額を表すことになります。


直接法で減価償却している場合、BSに記載されている金額がそのまま簿価となります。
減価償却の際に、直接、固定資産をマイナスしているため、BSに載っている金額が既に減価償却を控除した金額(=簿価)になっているのです。



例題19-3 1,000万円で購入した建物(減価償却累計額 45万円)を980万円で売却した。代金は小切手で受け取った。 (減価償却は直接法にて処理している)



例題19-3 解答 (借方)現金 980  /(貸方)建物       955  (単位:万円)    
  / 固定資産売却益   25



まず、1,000万円で購入した建物について、今までの減価償却の累計が45万円(直接法で記載)となっていますので、簿価は1,000万円-45万円=955万円 となります。

直接法なので、BSに載っている建物の金額が簿価と同じになります。

以下、本問の仕訳を切る前のBSです。(例題19-2のBSと同じものです)
          
本問の仕訳を切る前のBS



仕訳を考える順序としては、まずBSに載っている建物の金額をそのままマイナスさせ(貸方に建物955万円)、借方に売却代金(借方に当座預金 980万円)を計上し、差額(980万円-955万円)が貸方に25万円生じるので、これを固定資産売却益として計上する、ということになります。

本問のBSは以下の通りです。
           
本問の仕訳を切った後のBS


建物955万円が消えて、当座預金が売却代金の980万円増加しています。

本問の仕訳を切った後のPL(例題19-2の続きと仮定)


PLには、固定資産売却益が収益として計上されます。(減価償却費45万円は例題19-2のものです)



では、実際に売却の仕訳を切ってみましょう。


練習問題19-1 ×1年4月1日に3,000万円で購入した建物(耐用年数20年 残存価額10%)を×4年3月31日に2,500万円で売却した。代金は小切手で受け取った。売却時の仕訳はどのようになるか。(減価償却は直接法にて処理している)



練習問題19-1 解答 (借方)現金 2,500  /(貸方)建物       2,595      
固定資産売却損 95 / (単位:万円)



所有している建物を2,800万円で売却した、ということなので、2,800万円-簿価 が売却の損益(収益もしくは損失)となります。

×1年4月1日に購入し、×4年3月31日に売却したということは、購入から売却までに3年間が経過しているということです。すなわち、売却する時の簿価を知るためには3年間分の減価償却費の累計額を控除しなければなりません。

よって、まず減価償却の計算をします。

本問の建物は残存価額(償却しない部分)が10%であるので、償却する部分は90%です。

3,000万円×90%÷20年=135万円(1年分の減価償却費)

ちなみにこの減価償却の仕訳を表すと以下のようになります。

(借方)減価償却費 135/ (貸方) 建物 135

売却時(×4年3月31日)は、取得してから3年間が経過しているので、減価償却費は135万円×3年=405万円が計上され、(直接法なので)同額が建物からマイナスされているはずです。(3,000万円-405万円=2,595万円)


×1年4月1日 建物取得時のBS



×4年3月31日 減価償却3年分控除後のBS



この2,595万円が売却時点(×4年3月31日)における建物の簿価となります。

そして、この簿価2,595万円の建物を2,500万円で売却したということは2,500万円-2,595万円=△95万円、すなわち、95万円の売却損となります。よって、仕訳の借方に売却損を計上します。
以下、売却後のBSとPLです。


売却の仕訳を切った後のBS


建物2,595万円がなくなり、現金2.500万円が増加しました。

売却の仕訳を切った後のPL(×3年4月1日~×4年3月31日)


           
減価償却費135万円は売却年度(×3年4月1日~×4年3月31日)の減価償却費です。
BSに載っている建物2,595万円という金額は、

×1年4月1日~×2年3月31日
×2年4月1日~×3年3月31日
×3年4月1日~×4年3月31日

の各年で、

(借方)減価償却費 135/ (貸方) 建物 135 

という仕訳が切られた結果です。

よって、×3年4月1日~×4年3月31日の1年分の減価償却費がPLに載ってきます。
(PLは1年単位で作成するため、1年分しか計上されません)


固定資産の売却(直接法による減価償却をしている場合)の解説でした。
今回の講座は以上です。

固定資産の売却の際、簿価より高く売れれば売却益簿価より安く売れれば売却損となるということを理解して頂きたいと思います。簿価を正しく計算するためにも、減価償却の計算を正確にする必要があります。

今回の要旨は以下の通りです。

・固定資産の売却時、「売却代金」と「固定資産の簿価」の差額を固定資産の売却損益(損失または収益)とする。
・簿価は「取得価額-今までの減価償却の累計額」
・直接法の場合の売却の仕訳は、BSに載っている固定資産をそのまま減少させるだけ。受け取ったお金との差額が売却損益となる。



次回は固定資産の売却(間接法の場合)を解説したいと思います。

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【第18回】固定資産(2)「減価償却(間接法)」

じっくり簿記 3級
【第18回】固定資産(2)「減価償却(間接法)」




こんにちは。たいちろうです。

前回は、固定資産の減価償却の、直接法について説明しました。
今回は、間接法による減価償却の処理を説明したいと思います。

減価償却の仕訳方法(間接法)
前回説明した直接法は、減価償却費を計上するとともに固定資産を直接減少させる(固定資産を貸方に記入する)方法でした。

仕訳としては 

(借方)減価償却費 ×× / (貸方) 建物 ××          (建物の場合)

となります。

一方、間接法は、減価償却費の計上とともに、貸方に「減価償却累計額」という科目で計上する方法です。

仕訳としては、

(借方)減価償却費 ×× / (貸方) 減価償却累計額 ××       

となります。

固定資産を減額するのではなく、減価償却累計額という科目を計上するという点以外(金額の算定方法など)は、直接法も間接法も同じ処理になります。



例題18-1 会社で使用するため、建物を900万円で購入し、購入にかかる諸費用100万円と共に、小切手を振り出して支払った。


例題18-1 解答 (借方)建物 1,000 / (貸方) 当座預金 1,000 (単位:万円)


直接法も間接法も、取得時は同じ処理になります。
購入代価の900万円と付随費用の100万円の、合わせて1,000万円が取得減価として固定資産の金額になります。



例題18-2 今期首に1,000万円で購入した建物(残存価額:取得原価の10%、耐用年数10年)について、今年度分の減価償却を行う。(間接法にて処理すること)


例題18-2 解答 (借方)減価償却費 90 / (貸方) 減価償却累計額 90 (単位:万円)


金額は前回(第17回)の例題17-2と同じですが、念のため減価償却費の金額の計算過程を示しておきます。

この建物の残存価額は

1,000万円×10%=100万円

となるため、減価償却できる部分は

1,000万円-100万円=900万円

この900万円を耐用年数10年で償却していく、ということになるので、

900万円÷10年=90万円

が毎年の減価償却費になります。

残存価額が10%であるため、償却できる部分が90%として、

1,000万円×90%÷10年=90万円

という計算方法でも大丈夫です。


さて、直接法と間接法の違いは、間接法は相手科目が「減価償却累計額」であることです。(直接法の場合は相手科目が「建物」でした)

この減価償却累計額は資産のマイナスを表す科目です。

具体的には以下に示す、本問のBS、PLをご覧下さい。

例題18-2の仕訳を反映させる前のBS(例題18-1のBS)



例題18-1の仕訳を切った状態のBSです。減価償却費がなければ、直接法と同じになります。

例題18-2の仕訳を反映させた後のBS



減価償却累計額が資産のマイナス(△)要素として記載されます。
この部分が、直接法と間接法の相違点です。

例題18-2の仕訳を反映させた後のPL


PLは直接法と同様です。

参考に、直接法によった場合のBSと間接法によった場合のBSを再掲します。

直接法



間接法



直接法のメリットとして、BSに載っている金額がそのまま固定資産の価値を表しているということです。
一方で、間接法はBSに載っている固定資産の金額から、減価償却累計額をマイナスしないと固定資産の価値がわかりません。

しかし、間接法のメリットとして、固定資産の取得原価が一目でわかるということがあります。
固定資産を減らすのではなく、減価償却累計額を使用するため、固定資産の金額はずっと変わらず、BSに記載されている固定資産の金額=取得原価となります。

また、その固定資産のうち、現在までに何円、減価償却したのか(=減価償却累計額)もわかります。

間接法の記載の仕方について、固定資産から減価償却累計額を引いた後の金額を横に記載する方法もあります。この方法であれば、直接法、間接法の両方のメリットが享受できます。




また、場合によっては減価償却累計額を資産のマイナスではなく、負債に入れる場合もありえます。(後の講座で解説する、「試算表」などではこのように表示されることがあります)




どのようにBSに記載するかは、実際の試験問題の出題のされ方によります。問題文の指示や解答欄の科目に減価償却累計額がどこにあるか等、注意して記入して下さい。



練習問題18-1 今期首に、会社で使用する車を400万円で購入し、購入にかかる諸費用50万円と共に、小切手を振り出して支払った。(科目:車両運搬具)

練習問題18-2 今期首に諸費用込み450万円で購入した建物(残存価額:取得原価の10%、耐用年数5年)について、今年度分の減価償却を行う。(間接法にて処理すること)


練習問題18-1 解答 (借方)車両運搬具 450 / (貸方) 当座預金 450 (単位:万円)
練習問題18-2 解答 (借方)減価償却費 81 / (貸方) 減価償却累計 81   (単位:万円)


「減価償却累計額」を使用するということ以外は、第17回の練習問題と全く同じであるため、解説は省略いたします。


減価償却の意義
前回、減価償却について「固定資産は時間が経過するにつれて価値が減少していくため、それを反映させるため、固定資産の価値の減少分を費用として計上する」と説明しました。一般的に、簿記3級(および簿記2級)までは、減価償却はこのように説明されていますが、果たしてこの説明で納得できたでしょうか?

「価値の減少を反映させる」ということを納得できても、「なぜそれが費用になるのか」ということについて説明が無いため、なんとなく、そういうものなのかと受け入れる以外になかったと思います。

(以下、簿記1級の論点であるため、興味がなければ無視して下さい)


実は、減価償却の目的は費用を計上することにあります。

固定資産といえど、会社としてモノを購入し使用するのだから、それは「費用」になるのではないか、と考えることができます。例えば、会社で文房具等を購入して使用するのであれば「消耗品費」という費用が計上され、利益に影響を与えることになります。

例 会社で使用する文房具1万円分を購入し、代金は現金で支払った。
 (借方)消耗品費  1 / (貸方) 現金  1 (単位:万円)

上の消耗品費のほかに、売上が500万円、仕入が200万円あった場合、PLは以下のようになります。





では、もし会社の事業において使用する建物を購入したときに、買ったタイミングで全額を費用にするとどうなるでしょうか。




(例) 会社の営業所として使用する建物(耐用年数20年)を5,000万円で購入し、小切手で支払った。


 (借方)建物購入費? 5,000 / (貸方) 当座預金  5,000 (単位:万円)
(建物について、適当な科目がないので「?」をつけています。本来このような科目はありません)

上記のPLに建物購入の費用を入れると以下のようになります。





このように、いきなり4,701万円の赤字となります。


しかし、20年も使用する建物を、購入した年に全額費用として計上するとして、果たしてそれが適正な利益が計算できていると言えるでしょうか。

PLは毎年の利益を計算するものであるため、翌年度になるとすべてリセットされます。すなわち、PLは毎年、売上や費用が0円からスタートします。


もし固定資産を一度に費用にするのであれば、固定資産を購入した年は、大赤字になります。 その反面、翌年以降は、建物を使用しているのにも関わらず、建物に関する費用は1円も計上されません。


(建物を一度に費用にした場合の、毎年の費用計上イメージ)

(6年後以降は省略)

毎年の利益の金額を合理的に計算するのであれば、建物を購入するのにかかった5,000万円は、この建物を使用する20年間をかけて費用にしていくべきであるはずなのです。


(20年間で費用にした場合、すなわち減価償却した場合の、毎年の費用計上イメージ)
(6年後以降は省略)

よって、建物の取得原価は、いったん利益計算には関係のないBS(資産)に計上し、20年で割った金額を、毎年費用計上していきます。これが減価償却費です。

正しい仕訳にするために、先ほどの建物購入の仕訳の「建物購入費?」を「建物」(資産)にします。

 (借方)建物 5,000 / (貸方) 当座預金  5,000 (単位:万円)

そして、今期分の費用化すべき金額(5,000万円÷20年=250万円)について、費用計上します。(直接法)

(借方)減価償却費 250 / (貸方) 建物  250 (単位:万円)

よって、減価償却した場合(費用を20年で按分した場合)のPLは以下のようになります。




このように、建物に関する費用は、今年計上すべき金額(使用期間20年で割った金額)だけになり、適切に利益が計算されるようになりました。

また、BSは以下の通りです。(直接法)




建物5,000万円から250万円が減価償却で減少し、4,750万円になっています。
この4,750万円の建物(建物の「簿価」と呼びます)は翌年以降、費用化されていくことになります。

長くなりましたが、減価償却の意義を要約すると、「資産の購入費用を、資産を使用する期間に配分する」ということになります。

適切な収益と適切な費用が計上されて初めて、適切な利益が計算されることになります。




今回は以上となります。
内容の半分以上がオマケの論点であり、簿記3級として学習するべき事項は、減価償却の間接法の処理だけでした。
しかし、「費用を期間配分する」という減価償却の意義は、減価償却に限らず簿記を学ぶ上で理解していると様々な場面で役に立つものですので、余裕があれば是非とも理解して頂きたいと思います。

今回の要点は以下の通りです。

・間接法は減価償却費の相手科目として「減価償却累計額」を使用する。
・「減価償却累計額」はBSにおいて資産のマイナスとして表記される。
・上記2つ以外は直接法と同じ



次回は固定資産の売却を説明いたします。
減価償却を理解していないと計算できない論点なので、減価償却をしっかりと復習しておくことをお勧めします。

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